家族の反応、事業説明
「俺の娘にそんな秘密があったなんて…」
「大丈夫よ、ディーネ。あなたは私たちの子供よ?」
「ディーネにそんな秘密があったなんてなあ」
秘密を話した割には、意外とあっさりと信じられた。
俺、結構色々と覚悟してから話したんだけどなあ、なんか納得いかない。
まあ、これでやっと、この世界の地に足をつけたって感じだな。
正直、異質だなってすっと感じていたからな、自分の存在のことを。
受け入れられて、ホッとしている自分がいるのも本当のことだ。
「古来より渡り人という存在はいたんだ。
あやふやな記憶で渡ってきたという世界の知識を授けてくれる存在。
だが、うまくいかないことも多々あって、迫害された時期もたしかにあった。
だが、ちゃんと調べてみれば有用なこともあったのだ。
ふわふわになるパンの素とかな?」
「そうね、最近新しい料理を作っているディーネの知識はどこから来ているのか?
冷静に考えれば渡り人っていう可能性はたしかにあったわね」
「渡り人が授けたリバーシのようなおもちゃは他に思いつかないかい?」
「うーん、いくつかは思いつくよ?
けど、駒の加工が難しかったり、受け入れられるかわからないものが多いかな?
ボードゲームの類は少しは遊んでいたつもりだけど…」
父上は渡り人という存在を曖昧な存在として認めていた。
母上は俺のことに気付く可能性はあったと考えていた。
アレクは渡り人のおもちゃが欲しいっと。
うーん、まあ、後ろ向きに捉えられるよりはいいか。
「それで?スラムをなくすほどの事業を展開すると聞いたが、本当か?」
「あ、うん。実験も終わったし、あとは交渉と現物を作る感じかな?
出来たら場所も欲しいけどこれは難しいかなって思ってる」
「一体、何をするつもりだ?」
「一言で言えば、運動不足の解消。そして、それを楽しくできる環境づくり」
「ほお?運動不足の解消とな」
「軍閥の貴族って偉くなると、机にかじりついての書類仕事が増えるでしょ?
今まで軍の前線で戦っていた人たちが、食生活と運動不足で太っていくの」
「お、俺は運動もしてるから大丈夫だよな、リリー?!」
「そうねえ、昔よりちょっとお腹周りが…」
「なっ…!」
「そういう悩みを解消するのが今回の事業計画だよ。
まずは第一波として、『体感型の訓練機』を作るつもり。
第二波にはその訓練機に臨場感を与えて、使用者の運動意欲を煽るつもりだよ。
第三波に冒険者も取り込むつもりなんだけど、大掛かりになるから保留中かな」
「ほお、貴族だけじゃなく冒険者のことも考えているのか」
「だけど、『体感型の訓練機』を宿で使うと、ほかの客に迷惑になるかもなの。
だから、その点を解消できないと取り込めないかなって…」
「なるほど、冒険者が使用するための場所が必要なわけか…
それはたしかに保留にした方がいいかもしれんな」
「とにかく広い場所が欲しくなるからね、こればっかりは後回しだね」
「その『体感型の訓練機』とやらの実物を見てみないと、判断は下せんな。
よし!ディーネ、作ってみせよ」
「では、そのために魔道具店のゾロを城に呼んでもよろしいでしょうか?
以前に注文していたものの誘拐騒ぎで有耶無耶になっていたのです」
「ふむ、城に召喚するのであれば問題はない」
「ディーネ、何を注文していたの?」
ここで母上が食いつく。
ふふっ、女性の心を鷲掴みにしてやるぜ!
「髪を乾かす魔道具と顔に潤いを与える魔道具です」
「なんですって!?私も同席してもいいかしら?」
「ええ、お母様。実際に使うのは女性の方が多いでしょう。
女性視点の意見も頂ければと思います」
「わかったわ、楽しみね!」
「ディーネ、おもちゃ…」
「それはまたの機会にしてくださいませ、アレクお兄様?」
がっくりと肩を落とすアレクとウキウキしている母上が対照的だな。
さあて、忙しくなるぞ!




