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【本編完結】異世界男の娘【連載版】  作者: 物部K
魔法学園卒業後

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師匠と弟子の縁と繋がり

コルネリウスが四年生ってことは、王宮に来るのも四年、五年ぶりか。

それだけ母上とは音沙汰なしで離れていたのか。

父上は何も言ってなかったけど…

兄上の手紙には大喧嘩をして大変だった、と書かれていた。

久しぶりに会うのにはとても気が重い。


この辺りは王族の居室というか居住エリアだ。

出会うのも王家に忠誠を誓った近衛と口のかたい侍従だけだ。

俺の姿を見ても、きっと黙っていてくれるだろう。

そう考えながら、俺はてくてくと、奥へと向かって歩いていく。

目的地は母上の私室だ。




廊下の向こうから、人が来るようだ。

俺は廊下の端により、頭を下げる。


今の俺は王族じゃないからな、これくらいは当然だ。

ただ、向こうからしたらそんなことは関係ないようだった。

歩みが止まり、複数の息をのむ音がした。

そして、声がかけられる。



「頭を上げなさい」



俺は言われた通りに頭を上げる。

そこにいたのは王族然とした、凛々しいティナだった。

そして、その周囲を守るためにいる近衛。俺の教え子たちだった。

近衛がそんな驚いた顔していたら、ダメだと思うぞ?


実は先ほど、こちらに向かってくるときになんだが…

探知と探索の魔法が投げられたからレジストしてやったんだ。

だから、向こうは警戒していたんだろうけどな。

ちゃんと俺の教えを守っているようで安心したよ。

何事も疑い、常に危険に晒されていると思えってな。


近衛たちの目が潤んでいく。

ティナも驚いた顔から、周囲をちらりと見てから残念そうな顔をする。

仕方がないので口を開く。



「どなたかをお探しのようですが、本日こちらには私一人でございます」



ティナがぴくりと反応を示す。俺の言葉の意味を理解したようだ。



「そうですか。

とても懐かしい顔を見てしまい、ついあの方を探してしまいました。

髪飾りの礼が出来ていなかったので…」



そういって、しゃらりと髪飾りを揺らすティナ。

美しく複雑に光る聖女アンナの魔力が込められた小さな魔石のついた髪飾り。

あの髪飾りの魔石は周囲の魔力を吸い上げる。

そして、聖女アンナの魔力にするという機能のついた逸品なのだ。


危険な目にあえば自動で周囲に守りの結界を張ってくれる。

さらに、そのままでも自浄作用を持ち、毒などから身を守ってくれる。

それでいて壊れないっていうおまけの不壊の付与効果つき。


代々使って、縁を繋いでほしいというアカネの祈りが込められている。

それが一目でわかる品だ。

そういえば、盗まれたらどうなるんだ?って聞いたことがある。

たとえ盗まれても、魔石の魔力さえあれば装備者の下に戻ってくるらしい。

ホントに大事にされているな、ティナは。



「師匠…」

「ディーノ様…」

「私たち、近衛として頑張っていますよ?」


「ディーノさん…」

「我々に別れも告げずに去って、その後に事情を知った私たちがどんな思いで…」

「あの卒業パーティの中、急にいなくなり、私たちは必死に探したんですよ?」

「育ててもらった恩がまだ返せていません!」




「あなた方は立派に私から巣立ちました。あとは私の教え通りに研鑽しなさい。

…そうですね。

私の事情を知ったというのであれば…

あなた方にも縁を繋いでいってもらいましょうかね?

遠い遠い、遥か未来の先まで。イメージクリエイト!」



こんなところで使うには不用心な力だが、今回だけだ。

この七人にも随分とお世話になったからな。

あのときは悪いことをしたなという自覚も後悔もあったんだ。

だから、これは罪滅ぼしでもある。


輝かしい未来へ進む彼女たちに相応しいものを。

彼女たち同士の繋がりと俺との繋がり。

未来永劫続く師匠と弟子の証だ。



「いつかあなた方が戦場に立ったとしても…

怯え、すくみ、苦しい時でも、私がついています。存分に戦いなさい。

本当はあなた方には、後進の育成をしていただきたかったのですが…

今はそういう立場ではないですからね。


だから、そのためにも生き抜きなさい。

未来永劫続く、あなたたち七人と私の絆であり、縁であり、繋がりです。

…受け取りなさい」




「…これは、指輪?」

「綺麗な紋様に、宝石が嵌っています」

「私たちの絆…」


「縁に、繋がり、ですか…」

「後進の育成、たしかに拝命いたしました」

「私たちの弟子が、先生の弟子でもあるんですね!」

「この指輪の持ち主がきっと遠い未来で、先生たちを助けるのです!」



「はい。

ノエル、ジーン、ケイト、ジュディ、メリッサ、フェリシア、サラ。

自慢の弟子たち、未来できっと私を助けてくださいね」



「はい、先生!」

「大勢で助けに行きますよ?」

「私たちの弟子はきっとたくさんになりますからね」


「この身が滅びても、私たちは先生とともに」

「縁はどこまでも続いて、私たちと繋がっています」

「先生が寂しくないように、私たちの弟子がこの指輪を掲げてくれます!」

「最後の出会いで、名前を呼んでくれるなんて、卑怯ですよ。先生…」




「では、ティナ様。私はこれにて。仕事が入りました故、御前失礼いたします」


「ええ、行きなさい。あなたたちの未来に幸あれ」


「ティナ様にも。私たちより祝福があるように、遠き地からお祈りしています」



俺たちはその場で別れ、振り向きはしなかった。

彼女たちもきっと振り向かなかっただろう。

ここで別れてしまっても、きっとまた会えるんだから。

遠い遠い、遥か未来の先で。

ちょっと彼女たちのことを思い出してしまい、間に挟んでしまいました。

名前も初登場です。

ホントは最後まで名前は出さないつもりでしたが、最後だしと出しました。

あんまり登場人物が多くなっても、覚えていられないでしょ?という作者の考えです。

きっとカオル、いえ、ディーノのために弟子をたくさん育ててくれます。

指輪の行方はちょっとわかりませんが、きっといつか未来で出会った人物が持っていることでしょう。

彼らの行く先に、幸多からんことと指輪が見守ってくれるはずです。


自分の作品になると、こうも気持ちが入ってしまうものなのですね。

他の作者さんも書いてるとき、こんな気持ちだったのかなー?なんて思ってしまいます。


まだ続きます!残りもよろしくお願いします!

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