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九話目 愛を消してやる

♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥


 あの時はもう眩しいと目を背かせて逃げるしかなかった。


 あの時、靡先輩が駆けつけたと気付いたから。


 先輩は風を操り、瞬発力が天才的に速い。

 いつもの皇なら避けられるが、あの時は疲労していたので逃げ道があれしかない。

 そう、考えた皇は閃光の粒子を起こす。


 案の定、藍は目を瞑った。


♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥


『お、来たか』

 闇で覆われたドーム状の本拠に皇が来ると黒恋こくれんは嬉しそうに迂回する。

 彼は、凛に焼かれて消えたのではないのだろうか?

 元気に動き回っている。

闇月やみつきを封印した?こいつがまた暴走したのか…はは』

 皇が持ってきた球体を見るなり黒恋は笑う。

『暴走したのは皇よ』

 くぐもった声を闇月は発する。

『神聖情愛隊の子を助けたのだから』

 憎しみがこもった声で球の中から皇を睨みつける。

 しかし、皇はどこ吹く風という感じで、そっぽを向いている。

『大胆だぜ、皇』

 黒恋は豪快に笑うと皇の前で停止した。

『今回はいろいろあったんだな?でも、お前がいないと勝てないからよお、今日は許してやるぜ』

「どうも」

 冷静に、動じることなく返す皇。

『それとなあ…お前に感謝しなきゃいけねえかもな』

 黒恋は、ニヤリと笑う。

 それには、同じ仲間であり、同盟関係で冷静冷酷の頭脳派の闇月でさえ恐怖にさせた。


 球の中でガチガチと震え出す。

『震えてる?頭いいぶっていた闇月さんよぉ』

『あ、あんたが馬鹿なんでしょ!?』

 やがて、闇月は暴れはじめた。

 嫌な予感がする。

 その前に逃げなければ──!

『あ、おれのために力になってくれないか?』

 黒恋が口の端を歪め、球に手を伸ばした。

『やめて!』

 動揺する闇月。

 皇はただただそれを見ている。


 ──黒恋は。


 球から闇月を引っ張り出すと自分の体と重ねた。

『……なっ!』

「……!?」

 これには皇も目を見開く。

『やっと一つになれる……』


 黒恋は、自分と同色させ、同じにさせ、侵食させ──一心同体と化した。


「……──」

 さすがの皇も絶句。


『これでおれは最強になった!頭脳と攻撃力と冷静力と!これで勝てる…』

 黒恋の中から闇月の声が聞こえる。

『あんたの心の中、汚い!虫唾が走る!』

 しかし、黒恋はくくっと笑った。

 今まで以上の邪悪さを込めた──。


『愛を消してやる。全滅にさせるほど消してやる。地球人が愛に染まっているなら、地球ごと滅ぼしてやる』


 狂ったように笑い続ける黒恋。

 中で悲痛の声を上げ続ける闇月。

 それを半ば放心状態で見ている皇。


 もはや、事態はただごとではなくなった。


『バレンタインデー?そんな崩壊させてやるぜ、このおれさまが!』


 黒恋の体に変化が起きる。

 ただの浮いていた影から──人形の影になった。

 漆黒に染められた体が。


 皇の前に立つ。


『協力してくれるよな?皇』


「……分かった」


 闇落ちしてしまった以上、頷くしかなかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお~、なんかすごいのに進化した! 強敵の出現ですね!
[良い点] なんかやばいものが出来上がった!! バレンタインはどうなろうのだろうか!?
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