四話目 なんで愛ごときに人を守るんだ?
今日から冬休みか〜。
でも私は休んではいられない。
パトロールスケジュールを見る。
12月31日までに二班が出るのは28と31。
なんで大晦日パトロールなんだよ!
明日か〜パトロールは。
それまでに力の練習でもしておこう。
「愛の力。解除」
一瞬で自分の体があつい熱に包まれる。
……これは炎ではない。
オーラと言ったほうが正しいのかもしれない。
「甘い気力」
自分で言うのも何だけど心地の良い気力が放出されていく。
そして……愛の力主流の奥手。
「有限実態……!」
だが発動はしなかった。
まだ修行不足か。
正直、これしか使える力がないのに…まだ使い慣れてない。
有限実態とは愛の力の先祖がつけた。
ネーミングセンスがあんまり好きじゃないんだけど。
有りな限りの実態?
つけた人は「無限を愛の力で有限」にする意味らしいんだけど。
有限はともかく、無限なんてどこにも入ってないじゃん!
プープー
何!驚くよ!
無線が音を立てている。
──ガチャ
『こちら神聖情愛隊本部。そちらは』
「コード05第二警班。どうぞ」
『二班引き連れてパトロールしてくれませんか?』
「はい?異常事態発生?」
明日パトロールじゃないのか…?
今日と明日はキツいんだけど。
もしかして、アイツラが動き出したとか。
『いいえ。これは三班、四班他の班にも頼んでいます。というようのも、一班のコード02が失踪しまして』
「02……って誰でしたっけ?」
『皇という名前の方です。おそらく、連れ去られたのではなく自分から失踪したのでしょう』
ああ…神聖情愛隊の問題児と呼ばれるヤツね。
中々悪名高いで有名なやつだ。
「分かりました。02を探せと言いたいわけですね?」
『恐れ多いですが、よろしくおねがいします。ついでにパトロールもよろしくおねがいします』
「あ、その件ですが、明日のパトロールは延期に……」
ガチャ
切られたよッ!
あの皇とか言う人のせいで2日続けてパトロールになったじゃん!
私の休みを返せ〜!
♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡
「集まったな」
光が時間を確認しながら呟いた。
「さっさと見つけて終わりにしましょ?」
要が面倒くさそうに言う。
まあ、私だって面倒なんだけど。
「なんだ〜人探しかよ。っち、戦いがないのか…」
一人だけ戦い好きなバカがいるが無視をしておこう。
「第一警班コード02皇。今回のターゲットはそいつか!」
「……敵ではないけどターゲットは確かね」
要が頷く。
どこから探せばいいんだろ?
探知術の力を持っている人なんていないし…。
──シャララン……
「!?」
綺麗な鈴のような音が響いた。
目に飛び込むのは輝く粒子。
光のようなもの。
「あれって……」
要が呆然と呟く。
現れたのは。
「皇……!」
問題児として有名な皇だった。
皇は天使の微笑みを見せた。
でもね、騙されないのよその地獄の笑みに!
「あーまた追手かー」
面倒そうに悪態をつく。
「なんで愛ごときに人を守るのかねー」
彼が手をかざす。
一同は予測をし、動き出した……が。
「!?」
輝く粒子に目がくらむので前に踏み出せずにいる。
目をつぶって……それじゃあ格好のいい餌になってしまう。
「ねえ、僕神聖情愛隊やめたいんだけど」
「魔法の才能があるならぜひやめないで役に立ってほしい」
長が言う。
でも、問題児はまた手を振り上げる。
皇の力は煌──煌めく粒子を操るのだ。