十四話目 甘い愛の魅力で引き入れろ
一瞬で閃光が間に一閃した。
『ぐ!?』
輝く閃光──剣。
光は華麗に着地した。
「藍!」
私を見つけると駆け寄ってくる。
「一旦こい!」
無理やり手を引っ張って立たせてくる。
え!?これなんですか!?
って、今そんな場合じゃない!
「シャイニーッ!」
逃げる瞬間、黒恋の前に閃光を放ち、瞬く間に逃げさせられた。
「何とかなった」
光がホッとしたように言う。
しかし。その後悲しそうに
「あの様子だと……幼馴染殺されたんだな……」
「……──」
琉久……。
「今は悲しんでいる場合じゃない。単刀直入に言う。皇を探してこい」
「!?はい?」
「あいつを仲間に戻せ!じゃないとこれ勝てない。あんな黒恋にまともにぶつかれるわけがない」
「皇を……ってどうやって仲間に戻すの!?」
「それは、藍の力だろ。つまり……愛の力。甘い気力の惚れオーラ?みたいな攻撃で仲間に引き入れればいい」
「な、何ですか惚れオーラとは……」
でも確かに私の力はそうだ。
これが活用できるならば、使ってやる!
「じゃあ、皇はどこにいるの?」
「靡先輩が風でリサーチしてきた。案内してやる」
また手をつかまれ引っ張られていく。
何なんでしょうか……これは……。
ああ、皇に助けられた時を思い出す……。
琉久とが良かったのに……。
本当に消えたなんて信じられないっ…。
「ここのドームの中だ」
気付くと目の前に闇に包まれたドーム型の建物があった。
「俺は外で見守っておく。お前が入れ」
「え!?一緒は駄目なの?」
「皇を変に刺激しそうだし。でも……大丈夫。何かあったら守るから」
な、なんかカッコいい言葉吐いたよね、今!?
まあいいや。すぐ、入らなければ地球が壊滅してしまう。
「じゃあ、入る……」
正直怖いわ。
だって、影はいそうだし、皇は敵なんだから……。
コツコツと歩いている音が響き渡る。
「……!」
ダンジョンみたいなことにはならず、目の前に皇が立っていた。
「なっ……!」
突然のことで絶句する私。
「ああ、やっぱり僕狙いだね」
2ヶ月ぶりに聞く毒舌の声。
「今更戻る気はしないよ?」
サラッと笑う皇。
こいつ、味方だったとしても嫌な相手だわ。キザだし。
その笑みムカつくし。
まあ戻る気がしないなら、こっちからやってやる。
愛の魅力で(?)引き入れてやるっ!
甘い力──
心のなかで呪文を唱えて、体が熱を帯びていくのを感じた。
「ああ、それリサーチ済み」
な、なんて言った!?
「惚れ気力だろ?そんなの僕には敵わないよ」
ガーン!
バレてんのか!
光はこれしかないって言ってたのに!
「でもね……外が大変なことになっているんだよね?僕は黒恋にこんな結末は頼んでいない」
「……?何を言って」
「僕は、愛がない世界を生きたかったんだ。愛なんて自分を狂わす病だけなのに。それにかかっている人を見るのは辛くて。だから、愛がない世界を探した。それがここだったわけで」
「……今更」
「ただ愛がない世界ならどこでもよかった。裏切るつもりなんてない。愛がない世界をがここだっただけ。まず、僕を魔法が使えるからって神聖情愛隊に放り込んだのがいけないんだよ」
「またでたらめを……!」
蹴りでもかましたいわ……!
ムカつくわ、それ。
「落ち着きなよ」
微笑まれる。
それが余計に嫌なのよ!このっ!
「でも、君が人を守るのが違った意味で愛かもしれないって言ったよね?それも一理あるかもね」
クスッと笑みをこぼす。
「で、考えてみた」
「はいはい。自分の中で妄想しておいて」
だが、こいつはまだのうのうと喋り続ける。
「愛がない国なんてないのかもね。だったら僕はここを出て普通の世界に戻ろうかと思う」
「はあ……今更遅いわ。犠牲者が出てるのに。私の幼馴染だって殺されたんだよ!?それで普通の世界に戻ろうってふざけるんじゃないわよ!」
「まだ……巻き返せる」
皇は挑発するように見てきた。
「君は僕の情報を欲しくないのかい?」




