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十一話目 今年こそは愛を守りたい

 学校への道でコソコソと鞄を確認する。


 入ってるよね?

 うん、入ってる。


 本当にドキドキするが…。


 上手く言ったら…なんてあるかー!


「おはよ、藍。ノリノリだね〜」

 隣で茶化してくるのは親友の要。

「そもそも進めたのは要でしょ?」

「そうだよ?でも決断したのは藍だから、頑張ってね〜」

「う…」

 何も言い返せない。

 要に説得されて覚悟をした私。

 でも、当日になると心細くなってきた。

「でも、勢いで告白しちゃえばいいんだよ!」

 勢いでできたら苦労しないわー。

「わたしも覚悟したからね」

 要が鞄の中をチラつかせる。

 そこには…ラッピングにリボンが派手なハート型のチョコ…?

「まあだ、相手は教えないけどね」

 教えて!

 私の思い人を知っているくせに自分は隠してる。

「要って、キャラ替え多いよね」

「はい?」

 振り返る要。

 前から気づいてたけど。

「戦いの時は冷静で、人と話すときはからかうような軽いような…」

「会話と戦いを区別してるの!」

 思いっきり反論される。

「藍は区別しないで情にのりすぎ!皇のことも情で逃したんじゃないの?」

「そんなことはない!」

「分かってるよ…?ずっと一緒にいたから考えが筒抜けなんだけど」

「でも情で逃してはない!」

「本当?」

「ホントだよ!」

「そんな感じしないんだけどなあ…藍が本気出せば有限実態で皇ぐらい簡単に捕まえられたでしょ?」

 つっ……!

 確かに楽勝だった…けど……。

「私だって頑張ったけど!」

 闇月さえこなければ…上手くいってたのだろう。

 そして…皇が私を助けなければ…。


 あそこで助けてもらわなかったら危なかった。

 今、ここで歩いていられないかもしれない。

 それだけのことをしてくれたから、無情にも対抗なんてできなかった。

 自分が弱っていたせいもあるけど、確かにもうちょっと頑張れば成功したかもしれないのに。


 今でも思い出す。

 なんで…敵なのに…。


「やっぱりそうだったんだ」

 要が全てを分かっているかのように言う。

 もう分かっているんだろう。

「別に責めてないけど。でも…そうやって情に流されてると手に負えない大事になるよ?」

「……──」

 分かってるけど。

 情に流されずいられたらどれだけ楽なのだろう。

 凛みたいに戦いを楽しめたら。

 光みたいに冷静に戦えたら。

 要みたいに情を捨てられたら。

 自分が活躍でき、みんなに酷い目に合わせられないのだろう。

 それができぬ…私は…。

「ほら、またそうやって悔やんで。今更ながら遅いんだよ。過去に縛られすぎ」

 要から罵倒が寄せられる。

 確かに過去に縛られてます…。

 いけない!前を向くと決めたばかりではないか!

 どうして、私はこんなに落ち込みやすいのだろうか。

「分かったよ。今日はパトロールと渡すのを頑張るね」

「パトロールより、大戦になるような気がするんだけど」

 それでも、私は戦わないと。

 今年こそはあいつらを撲滅させて愛を守りたい。

 要が気づかせてくれた。


 学校には普通に登校した。

 渡すのは…放課後でいいか。

 同じクラスではない今、渡す時間も限られている。

 ああ、やっぱりあの頃同じクラスのときだったらすぐ渡せたのに。

 あの時に渡せばよかったのにな。

 今更悔やんでも遅いから、放課後渡すことに専念しよう。

 そして、返事を聞いた後パトロール。うん、これでいいね!

「じゃあ、準備を…」

 鞄の中身を出し、朝の準備をする。

 

 気が付かなかった…闇の気配など……。



♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥

























 昼休み。

 談笑をするクラスメイトの間を縫うように駆け、私は他クラスの光の元へ急ぐ。

 神聖情愛隊の小さな無線で。

 さっき、光から連絡が入ったのだ。

『嫌な予感がする。屋上に来てくれないか?できるだけ早く』

 屋上というのは光なりに何かがあったときに動きやすい場所なのだろう。

 嫌な予感…まさか闇月たちが?

 光には妙に勘の鋭さがあるから、怖い。


 ダッシュで駆け抜け、屋上へ。

 扉……つ!?

 鍵閉まってる!

 光はどうやって入ったんだ…?

『どうした?鍵閉まってる!?』

 無線から光の声。

「閉まってる!屋上にいるの?」

『いる。閉められたか…閉じ込められたとしかいいようがない』

 冷静だが、焦りの声にも聞こえる。

『ああ、やっぱり嫌な予感は当たった』

 光の走る音が聞こえる。

『見える?』

「見える!」

 光がガラス越しに見えた。

 扉が閉まってる…なら蹴り倒すしかないだろ!

 私には怪力ないから…有限実態で…。

「オレが燃やしてやるぞ!」

「!?」

 扉に一瞬で赤い火が移った。

「凛!?」

「オレも光に言われてきたからさ…鍵開いてないんだろ?なら開けるまで」

『それは感謝する。けど、学校で緊急事態以外、力は発動しては駄目ではないのか?』

 無線からの声に凛はあー!と声を出す。

「そうだったな!でも緊急事態だろ!鍵閉まってるのは!」

『そうだが…学校のものを壊した。器物損壊だぞ?』

「助けてやったのにうるせーことを言うんじゃないわ!」

 凛は叫ぶとススだらけになり、崩れ落ちた扉の残骸を乗り越え、屋上へ。

 私も飛び越える。

「光。ここに影がいるぜ?」

「だよな。影なら俺に気づかれず鍵を閉められる。やはり、バレンタインを狙ってきたのか」

 光は自らの手に光を灯す。

 白く輝く閃光を剣の形にし──。

 気を落ち着かせると、横に一閃した!

『バレたか』

 露わになる影。

「その声、黒恋だな?貴様、前退治したはずだろ?」

『はは、あれは分身だぜ?これも分身だけどな!』

 豪快に笑う黒恋。

 まだ、退治しきれてなかったのか…。

 しかも、こいつ大きくなってる。人形…?みたいに。

『ビッグニュースだぞ。この地球を覆っておいた。おれは闇月を取り込み、最強と化したのだ!』

「闇月を……?」

 光が驚愕の顔になる。

「お前、共食いしたのか!」

 凛が珍しく焦る声を出した。

『取り込んだ。おれが強くなるために』

 取り込む……って同化!?

 闇月の力を取り込んで自分を強化したということ……?

 そうすればこいつは強敵だ!

 今まで以上の強敵になってしまう。

 しかも、地球を覆ったって…。

『おれは、この地球に愛が流れてウザいから地球ごと壊滅させるのさ!』

 地球を……。


 今まで最規模のただの影だったのに……。


 私達に……勝ち目は……あるの!?














書いてたら大規模になっちゃいました…。

アニメとかでよくあるヒーロー展開になってしまいました…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 神聖情愛隊の学園生活◎ 大規模な戦いになりそうです(*^^*)
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