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十話目 愛の告白ってする?

♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡ ♡


 神聖情愛隊は切羽詰まってみんな緊迫な雰囲気が流れているのに、人々は甘い雰囲気で漂っていた。


 ──なんだか見ていられない。


 幸せすぎて、私達の苦労を知らずに。

 私達が力を抜けば、その幸せが壊れるとも知らずに。

 無防備にも笑っていられるのが不憫だ。


「藍……」


 要が不安そうに声をかけてくる。

「まだ囚われてるの、過去に…」

 不憫そうに聞いてくる。

 まだ囚われてるね、自分自身でも笑いたくなるわ。

 少しふとした時に考えてしまう…。

「最近、悩んでいるから、気分転換しようよ?ほら最近のことだとバレンタインとかさ」

「……──そうだね」

 バレンタインか…。

 魔法の適正があると発覚した瞬間に神聖情愛隊に入れられた。

 確か、小学二年生の時だっけ。

 魔法診断を学校で受けさせられて分かったんだ。

 だけど、その後は過酷だった。

 幼なじみにバレンタインのチョコを渡す予定だったのに、神聖情愛隊の日とかぶって渡せなかった。

  何年もたった未だに渡せずにいる…。


「あ!」

 要は思いついたように笑顔になる。

「藍は愛の告白ってする?」


「……?」


 そ、それはつまりバレンタインでチョコを渡せと?

 恋愛しろと?

 私の考えを汲み取った要が笑う。

「しないの?」

「……──」

「幼なじみの──君に…」

「ちょ、そこカミングアウト!」

 あわてて止める。

 なんで本人に聞かず言おうとするかな。

 凛たちがいないからセーフだけど。

「過去の話なんてどうでもいいでしょ」

 もうとっくに諦めたよ。

 いつも一緒にいれたのに、パトロールのせいで会えなくなってから。

 疎遠になるまで。

「そう?過去の話がどうでもいいなら皇のことも忘れなよ?」

「言い当て妙…」

 でも、さすが要だ。

 友達として全て包み込んでくれている。


「要は?」

「はい?」

「要はバレンタイン…」

「そこまでは言わないで下さい!わたしのことは聞かないで!」

「恥ずかしいのね」

「どーでもいいでしょ!?」

 要が頬を紅潮させている──。

 これは恥ずかしがってるわ。

 相手って誰なのかな?光とか凛?

 それとも同級生かな?

「わたしの相手を想像しないでっ!」

 私が考えていることを分かったらしく、怒っている。

「お互い様でしょ?」

 怒る要。笑う私。

 バレンタインは…どうしようかな。

 やっぱりあの人に…あげたいけど…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] たしかに神聖情愛隊はあるいみでバレンタインとは無縁になってしまうのですね。 それは悲しい(;_:) でも発展するのかな?
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