十話目 愛の告白ってする?
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神聖情愛隊は切羽詰まってみんな緊迫な雰囲気が流れているのに、人々は甘い雰囲気で漂っていた。
──なんだか見ていられない。
幸せすぎて、私達の苦労を知らずに。
私達が力を抜けば、その幸せが壊れるとも知らずに。
無防備にも笑っていられるのが不憫だ。
「藍……」
要が不安そうに声をかけてくる。
「まだ囚われてるの、過去に…」
不憫そうに聞いてくる。
まだ囚われてるね、自分自身でも笑いたくなるわ。
少しふとした時に考えてしまう…。
「最近、悩んでいるから、気分転換しようよ?ほら最近のことだとバレンタインとかさ」
「……──そうだね」
バレンタインか…。
魔法の適正があると発覚した瞬間に神聖情愛隊に入れられた。
確か、小学二年生の時だっけ。
魔法診断を学校で受けさせられて分かったんだ。
だけど、その後は過酷だった。
幼なじみにバレンタインのチョコを渡す予定だったのに、神聖情愛隊の日とかぶって渡せなかった。
何年もたった未だに渡せずにいる…。
「あ!」
要は思いついたように笑顔になる。
「藍は愛の告白ってする?」
「……?」
そ、それはつまりバレンタインでチョコを渡せと?
恋愛しろと?
私の考えを汲み取った要が笑う。
「しないの?」
「……──」
「幼なじみの──君に…」
「ちょ、そこカミングアウト!」
あわてて止める。
なんで本人に聞かず言おうとするかな。
凛たちがいないからセーフだけど。
「過去の話なんてどうでもいいでしょ」
もうとっくに諦めたよ。
いつも一緒にいれたのに、パトロールのせいで会えなくなってから。
疎遠になるまで。
「そう?過去の話がどうでもいいなら皇のことも忘れなよ?」
「言い当て妙…」
でも、さすが要だ。
友達として全て包み込んでくれている。
「要は?」
「はい?」
「要はバレンタイン…」
「そこまでは言わないで下さい!わたしのことは聞かないで!」
「恥ずかしいのね」
「どーでもいいでしょ!?」
要が頬を紅潮させている──。
これは恥ずかしがってるわ。
相手って誰なのかな?光とか凛?
それとも同級生かな?
「わたしの相手を想像しないでっ!」
私が考えていることを分かったらしく、怒っている。
「お互い様でしょ?」
怒る要。笑う私。
バレンタインは…どうしようかな。
やっぱりあの人に…あげたいけど…。




