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―第二百七十八話― 三人の調子

 ……ん?

 少しだが、ジャスミンたちの動きが悪くなってきたな。

 疲れてきたのか?

 一応、様子を見たほうが良いのだろうか。


「《移動》」


 まずは、ジャスミンから。


「ハァ、ハァ……。……リア?」

「おう。調子どうだ?」

「どうもこうも……!」


 目の前にいた魔物を切り伏せ、ようやくジャスミンは一息ついた。


「なんなの、こいつら!? 強すぎじゃない!?」

「ああ。まあ、セルバンテスがなんかやったんだろ」

「……というか、リア、なんか雰囲気変わった?」

「あー、能力の調子がいいからかも」

「……だからそんなに余裕そうなのね」

「うらやましいか?」

「殴るわよ?」


 怖いからやめてくれ。


「って、また来た……! 『ストライク』!!」


 大きな炸裂音と同時に、魔物が真っ二つに切れた。

 やっぱ、規格外だよな、こいつ。


「じゃ、俺はツツジたちの様子も見てくるわ」

「分かったわ。リアも、頑張って!!」

「おう。《移動》」


 さーて、と……。

 …………。


「ああああああ!! もう!! うざい、うざい、うざいうざいうざい!!」


 ツツジの前に立つ魔物たちが、一瞬にして切り刻まれていく。

 魔物も反撃しようとしているが、その隙も与えずに、即座に殺されて行っている。

 ただ、ツツジももう息が大分上がっているように見えるな。


「あ、お兄ちゃん!! ハァ、ハァ……。どう? この辺の奴ら、皆やっつけたんだよ?」

「すげえな」

「えへへ」


 とても一人でやったとは思えない量の死体が転がっているのだが。

 随分と頑張ったんだなあ。


「あんまり、無理するなよ?」

「だいじょぶ、だいじょぶ。このくらい、朝飯前よ!!」


 そうは言っても、肩が結構上下してるぞ。


「ある程度したら、街に戻って休んだらどうだ?」

「うん。戦いが終わったら、ゆっくり休むわよ」

「そういうことじゃないんだけどな……」

「まあ、私の事は気にしないでいいから、ジャスミンちゃんたちの方をお願い。私は、多少無理しても大丈夫だから。なんてったって、半アンデッドよ?」

「……まじで、無理はするなよ?」

「分かってるから!! もう、お兄ちゃんは心配性過ぎよ!!」

「……分かった。じゃ、気を付けて」

「お兄ちゃんも」

「《移動》」


 物凄い速度で再び敵陣に突っ込んでいったツツジを横目に、俺は能力でローズのところへ向かった。


「『リバース』!! うおらっ!! 『リバース』!!」


 ……!!

 能力の使い方が、格段に上手くなってるな。

 ぐるぐると能力で位置を変えまくり、撹乱しながら的確に魔物を倒していっている。


「おい、調子どうだ?」

「ああ!? お前、声かける暇あたら、少しは手伝えよ!! 僕はもう、息が続きそうもなくて……」

「分かったよ。《切断》!! ほい、これでどうだ?」

「……相変わらずのチートっぷりだな、おい」

「だろ?」

「こんな状況じゃなきゃ、まず間違いなくぶっ飛ばしてんだが……。まあ、いいや。それで、何しに来たんだ?」

「いや、疲れてそうだなー、と思ったからさ。様子を見に」

「余計な、お世話だ! そんな暇があったら、倒せるだけの魔物倒してきてくれ!! どうせ、こいつらも余裕で倒せるんだろ?」

「余裕ってわけでもないが……。ま、分かった。あんま無茶すんなよー」

「てめえもな!!」


 ったく、ツンデレだなあ。


「《移動》」


 さ、ローズにも叱られたし、俺は俺の仕事をやるか。

 相変わらず、神経は異常に鋭くなっている。

 この調子なら、予定以上に早く終わらせられそうだな。

 ジャスミンたちの負担が少しでも減るように、頑張らないとだ。


「《切断》!! 《爆発》!! 《細断》!!」


 目について魔物を倒しながら、俺は再び戦場に駆けだした。

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