―第百二十七話― 歓迎会
……どうして、手続きというのはこんなにも面倒なのだろうか。
ギルドから出ると、もう既に日が沈んでいたのだが。
「……晩飯どうしよう」
「お前、自炊なんてできたのか!?」
「あったりめえだ! 俺が何年一人暮らししてきたと思ってるんだ!」
「……当たり前かもしれないが、成長したんだな……」
「うるっせえよ! ……なあ、今日は飲みに行かねえか? 料理が面倒だ」
「いいぜ。俺も今日は支度してないからな」
「あ、もちろん割り勘だからな?」
「…………」
「「「「あ!!」」」」
居酒屋にジャスミンとツツジまでいたんだが。
「あ、そうだ。二人とも、ローズが今日からうちのメンバーになるからな」
「ど、どうも……」
「「は!?」」
ちょうど紹介で来たな。
あー、よかったよかった。
「ちょ、リア!! なんであんたはいっつも突然メンバーを増やすのよ!!」
「だめか?」
「いや、だめじゃないけど……」
「というか、私に至ってはローズさんと初対面なんですけど!?」
「あ、えっと、はじめまして」
「あ、はじめまして……」
「ほら、図らずもパーティー全員揃ったんだ。今日は飲もうぜ」
「あんた、どこまでも気まぐれね」
「それが俺だからな」
「お前、普段からこんな感じなのか?」
「そうだが」
「……二人の気苦労、お察しします」
失礼な。
「ほら、早く酒もってきなさーい!!」
「こら、迷惑だろうが!」
「おにーちゃん! ジャスミンさんばっかりに構ってないで、私にも構ってよー!!」
「あー、分かった分かった。ほら、よしよし」
「ありがとー」
「……お前、これを見てもまださっきみたいなこと言えるか?」
「…………」
すっかり出来上がってしまった二人の介抱をしながら、ローズに問いかける。
……てか、こいつら酒癖悪すぎるだろ。
「……お前、早速脱退しようだなんて考えてないよな?」
「…………か、考えてないよ……?」
「その間はなんだよ!?」
「冗談だよ。ソロでやるよりもずっと楽しそうだしな」
……ったく。
「というか、ローズって意外と酒のめんだな」
「このくらい普通だろ」
俺の五倍も飲んでおいて、それはねえだろ。
「……そういや、ソロで冒険ってどんな感じなの?」
「ん? うーん……、まあ、自由にできるけど少し退屈な感じかな」
「……ほーん」
「自分で話題振っておいて、随分と興味なさそうじゃねえか!!」
「いや、興味はあるんだぜ?」
「欠伸しながら言っても説得力ねえよ」
「というか、俺は冒険者になってからずっとジャスミンと一緒だからな。一回もソロを経験してねえんだ。だから、ちょっとくらいはな」
「えっ、ずっとなの!?」
「うん」
「マジか……」
「いや、そんなに驚くことでもねえだろ」
「いや、普通のパーティーってもっと短命なんだぜ?」
「マジ?」
「持って三年くらいだろ」
「へ―……」
そんなもんなのか。
「そうよ!! そんだけ長く付き合ってやってるんだから、私にもっと感謝しなさいよ!!」
「急に会話に割り込んできたな! はいはい、感謝してるから、もう寝とけ。あとで家送ってやるからさ」
「えー、やだー!!」
「『寝ろ』」
「……お前、能力をそんな使い方してんの?」
「うん」
「単純に無駄遣い過ぎる」
「いいだろ、別に」
「…………。……というか、ツツジちゃんももう寝てるじゃねえか」
「あ、ほんとだ。ったく、こいつは……」
「……僕はもういいから、そろそろ解散にしないか?」
「……サンキュな。今度またサシで飲もうぜ」
「おうよ」
……さて。
「よいしょっと。それじゃ」
「ああ。またな」
「今日は俺が奢っとくから、今度お前も奢ってくれよ?」
「……今日は貸し一か」
「そゆこと。……じゃ、今度こそまたな。『移動』」
明けましておめでとうございます。
新年早々投稿時間に間に合いませんでしたm(__)m
今年もよろしくお願いします。