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0:【前世の僕】

初めてですので、どうぞお手柔らかにお願いします。感想、誤字脱字、その他諸々、お気軽に連絡ください。

どうか楽しんでいただければ幸いです。





突然だけど、所謂 僕は天才、なんだと思う。



僕、黒部(くろべ)(まこと)。17歳。

イケイケでキラキラな男子高校生だ。


名前に負けない 黒の髪の毛、黒の学ラン。

誇らしげに光る左腕の腕章には「風紀部委員長」の文字。一時の曇りも許さない黒縁メガネ、七三分けはもはや黄金比。

鏡に映る僕は、さながら眉目秀麗の擬人化だ。

朝日の眩しさに劣らない、僕のキラメキ。

嗚呼、今日もバッチリ完璧。


7:30分。黒部 誠、今日も行ってまいります。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


朝から取り乱してすまない。

つい、僕の素晴らしさについて多く語ってしまった。


そう、何度も言うが僕の名前は黒部 誠。

君も覚えておいてくれ。僕はいつかアメリカ大統領になる男…は、言いすぎた。 そこまでは無理だ。

僕は日本に生まれてしまったので。


そしてまた何度も繰り返し言ってしまって悪いが、

僕は天才だ。あ、君、今ちょっと笑ったな?

でも聞いてくれ、これは決して嘘なんかではない。


まず、学力。

僕はこの辺じゃあ1番上の学校に通っている。

運動だって、出来るぞ!

跳び箱だって16段まで飛べるし、

縄跳びも、あや飛びで僕の右に出るものはいない。


人望だってあるんだぜ。

なによりこの腕章が語っている。

「風紀部委員長」とな!!


容姿だって!!そこまで褒められた事もないけれど、僕的には…すごくすごく美しいと思う。

七三分けは祖母以外に褒められたことがないが。

でもでも、僕的に美しいからオッケー。

努力もした。

でもそれ以前に僕は、生まれ持っての天才だった。

ひょっとしたら、僕って記憶が無いだけで、何かの生まれ変わりなんじゃないか、と思うくらいに。

それこそ、チート系の。俺TUEEEE系の!



きっと、僕はこれからもこの人望と才能と容姿でこれからのニッポンを支えていくんだ、と。


そう思ってた。

そう信じてた。

信じて疑わなかった。

でも…神様の裏切りというのは案外突然で、よりによって今日、それを知ることになる。


「天才の僕が、早死なんてするわけないじゃないか。」


本当に、そう思ってたんだ。


目の前の広がる トラックと、

腕の中の猫を見るまでは──


「やばいな、これはいくらこの僕でも死ぬ」



…これが、僕の最期の言葉。

黒部 誠。享年 17歳。

いつか ビッグになるはずだった男。

アメリカンドリームも、ジャポニカドリームもない。


僕こと天才は、こうしてあっけなく死んだのだった。


閲覧ありがとうございました。

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