【コミックス発売記念】『ダンテとマーリン』
前にダンテとの会話が見たいってリクエストがありましたので、今回はダンテにしてみましたー!
短いですが、ご了承をー!
これはとある放課後の話――
「そういえば、ダンテってさぁ。今もマーリンさんと連絡取ってるの?」
誰もいない寮の談話室で、 セシリアはダンテにそう聞いた。
マーリンというのは、ダンテがかつて所属していた暗殺組織、ハイマートのトップにいた女性のことだ。セシリアの誘拐事件の後、組織は解体され再編成された。今は少数精鋭の隠密組織として活動しているらしい。
思いもかけない彼女の言葉に、ダンテは目を丸くする。
「マーリンと? なんで?」
「いやー、なんとなく?」
歯切れの悪いその言葉に、ダンテは片眉を上げる。
「とってはいるけど。まぁ、お互いに報告だけはしてるって感じだよ。さすがに、定期的に連絡は取ってないし」
「そうなの?」
「うん。俺はもう組織の人間じゃないし、友人の俺が、非合法武力組織なんかと定期的に連絡を取っているなんてバレたら、オスカーの体面的にも悪いしね。……で、どうしたの? 何か力を借りたいことでもできた?」
ダンテの言葉に、セシリアは慌てた様子で首を振る。
「ちがう! ちがう! マーリンさん元気にしてるかなーと思って」
「元気?」
「うん。怪我の具合とか、聞いてなかったなと思って」
ダンテは驚いたように目を丸くした。
「気になるの?」
「まぁ、お世話になったしね」
「もう、ピンピンしてるよ。シルビィ家からいつお呼びがかかってもいいぐらいには回復してる」
「あはは……」
セシリアは苦笑いを零した。 あの申し出は、今でも有効らしい。
できれば頼るようなことはないほうがいいのだが、このバッドエンドと背中合わせの状態では 、そうも言ってられないかもしれない。
「まぁ、なにかあれば、よろしくお願いします」
「いつでもどうぞ」
組織から抜けても、連絡係ぐらいはしてくれるらしい。 ダンテはそう言って唇の端を上げた。
「それにしても、セシルってば相変わらずお人好しだね。普通、自分を誘拐した犯人を心配する?」
「誘拐した犯人って言っても、別にマーリンさんがやらせたわけじゃないし……。それに、マーリンさんが怪我したのは俺のせいだしね。……あと……」
「あと?」
「二人が連絡ちゃんととってたらいいなって」
「は?」
「二人は家族でしょ?」
その言葉にダンテは大きく目を見開いた。そのまましばらく固まる。
「俺の事心配してくれたんだ?」
「心配っていうのかな……。二人が仲良くしてたらいいなぁって。そう思っただけ」
「そっか」
ダンテは肩を跳ねさせるようにしながらニッとした笑みを浮かべた。そのまま、くしゃくしゃとセシリアの頭をかき混ぜる。
「わっ!!」
「いい子だなぁ、セシルって」
「ば、馬鹿にしてる!?」
困惑したような彼女の声にダンテは笑顔のまま首を振る。
「してない、してない。ただ、好きだなーって思っただけだよ」
「え?」
「はぁ?」
二人以外の声がして、セシリアとダンテは同時に扉の方を見た。そこには固まるギルバートの姿がある。彼の目は仲良くじゃれあう二人に向けられていた。
固まるギルバートに、ダンテは肩を震わせて笑った後、セシリアに思いっきり抱きついたのだった。
コミックス1巻発売しておりますー!
何卒よろしくお願いいたします^^