もう一人のスケルトン?
「それに腕が出てますから。彼女が選んだ方の骨ですね。君は……注目プレイヤーとして上がってないのですが」
ヒロインの左腕は周囲にある骨で誤魔化せると思ったけど、流石に運営にはバレてしまったか。けど、俺の名前は注目プレイヤーに上がってないのか。唯一のスケルトンのはず……あれ? もしかして、俺以外に増えた……『彼女の選んだ方』という『彼女』がサタリアかヒロイン、もしくは別の誰かなのかは分からないけど、『方』って事はもう一人はいるって事にならないか?
「そういえば……彼は拒否したのか。代わりにポン骨を注目プレイヤーに繰り上げる事は」
運営は設定画面を操作してながら、独り言を呟いてる。注目プレイヤーリストを調べるのと同時に連絡してる?
「あの……スケルトンは俺以外に増えたんですか? そんな風な言い方してますけど」
俺はバレてるならと、頭蓋骨を鎧から出した。運営なら無闇に攻撃してくる事もないし、もう一人のスケルトンの方が気になるぞ。レイがいないのにベルゼブの城をクリアした事になるのか。実はレイや草井さんが何体もいる……というのは怖いけど、俺がログインしてない時に協力する事は出来る……のか? 隠しダンジョンに行ったりと、そんな時間はないはず。という事は、別の誰かがパートナーにいる?
「ああ……スミマセン。余計な情報を言ってしまいました。ええっと……ポン骨さん以外にスケルトンがいるかですか? 名前は教えられませんが、一人いますよ。まぁ……これ以上は増えないし、貴方達は別種と思った方がいいんですけどね」
やっぱり、一人増えてるのか! これ以上増えないという言葉も気になるけど、俺の方が先にスケルトンになったはずなのに、相手の方が先に注目プレイヤーになってるなんて。別種というのも、相手は先に進化したわけか! そいつの代わりに注目プレイヤーに繰り上がるのは嫌だぞ。
「へぇ~……なら、俺も注目プレイヤーになるのを拒否しますから。そんな映像に頼らなくても、自力で有名になるし。アンタらの見る目が無かった事を教えてやるからな」
レイや草井さんを注目プレイヤーにする奴等だ。最初からレイ達もそうだけど、もう一人のスケルトンよりも先に声を掛けなかった事を後悔させてやる。
「それは私達にとっても嬉しいですよ。差し出がましい事ですが、その最初の一歩に協力しましょうか? 例えば、ゴブ蔵よりも先に、彼女達がいる場所まで移動させるとか」