ゴブ蔵……漏らしてるだろ?
「そこも魔物っぽいだろ? あの映像はちゃんと流してくれるんだよな」
「本当に良いんですか? 手の内を明かしても問題ないと……自分の間抜けさを公表するようなものですよ」
ゴブ蔵が偉そうな話してる中、運営の人は途中から毒舌になってないか?
「はっ! 何言ってるわけ? 象の魔物は倒したはずだろ。ドロップアイテムも手下達が拾ってきた。俺を馬鹿にするなら、運営のアンタを倒して、力を示してもいいんだ……」
ゴブ蔵の沸点は低いみたいで、片手を上げると、周囲にいるゴブリン達が戦闘態勢に切り替わった。俺なら結構ビビるんだけど、運営はゲームの中だと余裕の素振りだ。というのも、急にゴブリンの首が切り落とされた。そこに何枚かの羽のような物が見えたような……
「安心してください。私を倒してもBANしませんし、良い映像が取れるかと。勿論私は抵抗しますし、良い映像が貴方にとっては違うかもしれませんがね」
ゴブリン達を倒したのは運営の人だ。しかも、ゴブ蔵の手下達は全滅。直接ゴブ蔵を攻撃しなかったのも警告だな。運営だからってチート過ぎないか? 怯えさせるだけのはずが、逆にゴブ蔵の足はガタガタ震え、下手したら小便を漏らしてるだろ。
「俺の手下達が……明日になったら回復……してますよね」
運営の強さにゴブ蔵の態度が一転。あれを見せられると流石にね。それに手下達が殺されたら、数押しの作戦が無くなったに等しいし。
「野良は復活しますけど、手下ではないので、一から補充するしかありませんよ。話の続きなんですが、ゴブ蔵さんは象にしか目にいってなかったようで、他にも二人いましたよね? 」
「えっ? 乗ってる奴がいたような……姿も無くなってたし、象の魔物が倒せる前に死んだんだろ?」
「違いますよ。象の魔物に助けられ、逃げました。象の方が上手だったというべきか。それに……あの二人は注目プレイヤーに誘った事もあって……その二人を取り逃がしたのはイメージがよくありません。逆に二人を倒せば、注目プレイヤーの仲間入りを確約しましょう」
レイと草井さんは無事みたいだな。象の護衛の依頼を受けといて、逆に守られるなんて。元カレのせいだと象も責任を感じた? それよりも運営が二人を倒すように促すなんて駄目だろ。しかも、二人をプレイヤーだと勘違いしたままだし。
「時間は現実での今日まで。貴方だけに時間を割くわけにもいきませんからね。どうしますか? 手下の多くを失ってますが?」