インタビュー
「さて……どう移動するもんか」
といっても、移動手段は一つ。羽で飛ぶしかないんだけど、確実に目立つんだよね。ゴブリン達が盗んできた物がそこらに置かれてるから、隠れながら進む事も出来そう。誰かが運んで貰おうにもゴブリンと……ヤドカリがいるだけ。ヤドカリは流石に無理がある……けど。
俺は鎧の中で羽を羽ばたかせ、横倒しになった。これで鎧の中からでも外が見える。ゴブリンから見える可能性もあるけど、ここからは『ヒロインの左腕』を再度身に付け、匍匐前進だ。ヒロインの左腕は捨てられないし、『与骨』も出来ない。骨でも丈夫で壊れないはず。ヤドカリの姿を見て、思いついた。
「よし……良い感じで進めてるけど」
盗んできたアイテムが放置されてるから、逆にこっちが取りたくなってくるじゃないか。地味にゴブリンが食べ残しの骨があったり、ゴブリン自身の骨らしき物があるから、『補骨』したい気持ちになる。けど、補骨は光るし、仲間の骨が無くなれば、騒ぎ始めるかもしれない。二足歩行の足が手に入るかもしれないのに、道具としても持って帰れないなんて。その散らばった骨は、ヒロインの左腕の違和感を無くしてくれてるのは助かるだけど。
「この付近のはずなんだけど……レイ達じゃないのか?」
そういえば、MAP上では黄の二つを赤のゴブリン達が取り囲んでるわけじゃなかった。個々が勝手に行動してるみたいにバラバラで、黄の点の場所にいるのはゴブリンと……人間?
人間はマイクを持ち、宙に浮く魔物じゃなく、カメラがゴブリンに向けられてる。この感じは注文プレイヤーに運営がインタビューしてるところか?
ゴブリンやオークは『魔』で人気で、その中から選ばれるとすれば、かおリン以上に凄いプレイヤーなのかも。レイや今の草井さんみたいに見た目で判断してない。男前のゴブリンはある意味ゴブリンじゃない気がする。
ここは情報を入手するべきか。イベントが進めば、対戦相手になるかもしれないし、ゴブリンのプレイヤーが運営の前で特技を披露すれば儲けもの。動画も全部出すわけじゃないだろうし。