目立たない方法
「そうなんだ? かおリンが断ったのなら、止めておこうかな。プレイヤーになれるわけでもなさそうだし。次の街を目指すなら、シンリーに行けばいいんじゃないかな? 他の人達が移動してるから、後をついていけば大丈夫じゃない」
確かに次の街へはシンリー経由が良いかも。プレイヤー達が物珍しく湖を見に来てるみたいだし、NPC達も周囲に残ってるかもしれない。そこで情報を手に入れる事も出来るかもしれない。
「レイの言う通りにするかな。運営達の顔を覚えてるか? 一応、隠れたり、逃げたりしないと駄目だからさ。攻撃するのは……ありなのか?」
運営も一応プレイヤー扱いとしたら、声を掛けられる前に攻撃するのもありか? ソロ推奨してるし、街でなければ、素材集めでPKもありなはず。意外にレアアイテムを落とすかもなんて……
「彼等は人の姿をしていた。俺みたいなゾンビでもなく、『魔』にいない者だとアピールしてるのかもしれない。攻撃は止めておけ」
ヤバい。声だけでなく、顔もイケメン、仕草も格好良くなったから魅惑の効果があるんじゃないか。男の俺でもキュンキュンしそうだぞ……と、お尻の右手を見れば、魅了も解除されそうだけど。
「草井さんがそう言うなら……俺達が一緒にいると目立つから、どっちかが別行動をした方がいいかも」
二人は俺がいない間、自由に行動してるからな。どちらかが運営の目を向けてくれた方が楽だろうし。
「そうなんだ? 私と草井さんが一緒に行動するね。ポン骨はプレイヤーだし、骨だから目立つでしょ」
えっ……俺の方が目立つのか? 唯一のスケルトンだし、頭に羽が生えてるけど……じゃなくて、レイや草井さんは俺の装備でもあるんだから、どちらかは守ってくれよ。
「木を隠すなら、森で隠せ。三人寄れば、逆に注目度も分散されるのでは? ポン骨も、目立つ物その一ぐらいに。プレイヤー達からも狙われずに済むだろ」
草井さん……頭が良くなってないか? 三人いれば目立つのは確かだ……俺よりも二人が目立つんだろうけど、嫌な理由は俺の劣等感。スケルトンだから狙われる可能性は高く、人数がいれば攻撃されにくい。運営よりも、他プレイヤーから身を守らないと。
「一応、ポン骨だけが目立たない方法は他にもあるよ。それも三人で行動した方が良いとは思うんだけど」
俺だけが目立たない方法? 今は頭蓋骨だけじゃないんだし、周りのプレイヤー達から、レイの付属品になる事も出来ないはずだぞ。