アンタ誰?
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「今日は隠しダンジョン探索の続きもないし……違う街へ行ってみるかな。地形も変わって、素材とか骨のある魔物を捜さないとだし」
阿久野は学校が終わると同時に、さっさと家に帰ってしまった。一日中『魔人天生』をするつもりだったからな。天野さん率いる一軍になるつもりだから気持ちは分かるぞ。
空凛さんは女子達に捕まった。天野さんが見てたから、断りづらかった? いやいや、クレープを奢るからと言った後の、席を立つ早さは凄かったから。クレープ好きか、金欠のどちらかだな。食堂でも、空凛さんはあんぱん一つで、俺達の飯を地味に奪ってたから。腹減りキャラの誕生か? かおリンの時も、草井さんのう○こを食べてたぐらいだし……
天野さんに関してはノータッチ。阿久野と一緒で、女子集団に割り込めない。たまに天野さんがこっちを見る時があったけど、周りの女子達も同じ方向を見るから、こっちは顔を背けるからな。
「そうだ! もしかしたら、スケルトンの俺も注目プレイヤーとして、運営が会いに来るかもしれないよな。ここは映っておくべきか」
かおリンは手の内を隠したいみたいだし、今の状態で目立ちたいとは思えないんだよな。まぁ……映像が流れた時、鎧はどうなってるかは気になるけど。
「あっ! おかえり。ポン骨がいない間に色々あったんだから。シンリーが湖になってたり、何とかプレイヤーにならないかと声を掛けられたり」
「シンリーの事はかおリンから聞いたけど……それって、俺を紹介してくれじゃなくて?」
「ポン骨の名前は出なかったけど? 私だけじゃなくて、草井さんもだね。私達もかおリンみたいにプレイヤーって奴になれるの?」
運営も二人がプレイヤーじゃない事に気付いてないって事はないだろ? 人魚のプレイヤーの件もあるし、宣伝のためか? レイは分かるけど、草井さんはネタ枠としてか?
「レイと草井さんはプレイヤーになれないはずなんだけど……うおっ! また誰かを招き入れたのかよ。もしかして、撮影に来た運営の人達じゃないよな」
マイルームにイケメンがいる。人型の魔物……いや、人間だよな。『魔』パックで人間がいるとすれば、運営って事だろ?