まさかの変身?
「何もしないよりかはましか。そろそろ自分の力だけで動けるようにならないと駄目だし」
俺は『補骨』でYesを選択。駄目そうならレイや草井さんに『与骨』すれば取り外れると思うけど、どんな形になる事やら。何本かの骨がバラバラになって、体を補う形になるのが理想なんだけど。
牢屋の柵だったのが光の球体になり、俺の頭蓋骨の方へ飛んできた。そして、頭蓋骨の下から何か形成されていくのを感じる事が出来る。
「おおっ! これは……」
ガラン。ゴロゴロ……
「『…………』」
俺だけじゃなく、レイと草井さんはこの姿に黙ってしまった。鉄の骨を『与骨』して、メタリックな姿を想像したけど、実際は首の部分に鉄棒が生えただけ。しかも、支えがないもんだから倒れてしまう始末。頭蓋骨にヒビが入ってないよな?
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スケルトン→ドクロ棒(装備品)
HP 8/10
力 +30
速 -5
これ以上の『補骨』するためには、鉄骨を『与骨』で外す必要あり。解除されれば、ステータスは元に戻ります。
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力が増えるのはいいけど、装備品に変わってるんだけど! しかも、地味に力+30は使えるような感じだし。 鉄骨はやっぱり道具で、取り込んだ場合、装備品に変更されるわけか? 『与骨』したら、スケルトンに戻れるよな。
「はぁ……攻撃力は高いけど、装備品なんだよな。すぐにでも『与骨』で外した方が良いのか? HPがあるのも疑問があるし」
「装備品扱いなんだね……攻撃力が高いんだったら、ベルゼブを倒せるんじゃないの?」
「待った! いきなりベルゼブを狙いに行くつもりじゃないよね。戦闘皆無とか言ってたわけだし」
速-5だし、力+30もあるから結構重いらしく、レイは両腕で抱えるように持ち、それでも体が少しよろけてる。装備品となった俺を持ち運べるのも、俺の右手と同化してるおかげなのか? もしくは、俺の頭を持ってたみたいに魂を掴んでる状態なのかも。どちらにしても、ベルゼブを倒しに行くのは早いだろ。
「まずはデビルドッグで試すべきだし、レイよりも草井さんが俺を持つべきでは?」
草井さんは普通にデビルドッグよりも強いわけで、俺を装備した時、もっと簡単に倒してくれれば……その時にでも骨を手に入れば御の字だ。装備品としてベルゼブを倒した場合、外に出た時も、ドクロ棒のままなの嫌だ。人面犬でもこの際良いので、保険として骨を準備しておきたいぞ。
「草井さんに? う〜ん……大丈夫かな」
「そんな心配する事なんて……ご、ごめんなさい!」
「問題ないね」
何を心配してるんだと思ったら、レイが草井さんに俺を渡すと、重さで受け取った両腕が崩れ落ちてしまった。ゾンビの腕がそんなに脆いとは……そこも渋い声が許してくれたけど、両腕が無くなるのは問題ないわけないぞ。
「草井さんは休んで、腕を回復しといてね。私達はデビルドッグに挑戦してみるよ」
レイは転がっていた俺を拾い上げ、部屋の外に出た。まさか、武器として戦闘に初参加は予想外なんだけど、ここまでくると腹を括るしかない。レイにとっても初戦闘だろうし……って、待て待て! 今、レイが主人公的な位置で、俺はサブキャラ扱いになってる気がするんだけど。