VSウォーターマン戦 ー3ー
「かおリン! ……生きてるか?」
水嵩が少し増したのか、水中に入ったかおリンの姿が見えず、飛び出してくる様子もない。狼男を一撃で倒した事もあって、かおリンが倒されてもおかしくないよな。それもある意味俺のせいなんだけど。
「っぶな! ポン骨は後で覚えておけよ」
かおリンは水中から飛び出し、俺の頭へと着地。直後に、かおリンが出てきた場所からウォーターマンの両腕が突き出てきた。かおリンを捕まえて溺れさせようとしたか、水中戦に持ち込もうとしたのかもしれない。
「アイツ……結構攻撃力が高いし。取り敢えず、ポン骨は避ける事にだけ徹しろよ」
かおリンは戦闘中でも使える回復アイテム、薬草を食べてHPを回復。さっきの攻撃で結構HPを削られた事になる。防御力的に狼男の方が高そうだったけど、運が悪くて弱点やクリティカルが発生したのかもしれない。
「それは良いけど、何か倒す方法を考えないと時間の問題だぞ」
ずっと避け続けるのは無理だし、倒す方法が見つからなかったら、先に心が折れてしまうかもしれない……というか、今にでも寝落ちしそうなんだけど!
「……そこはお前も何か考えろよ。一応、成功するとは限らないけど、二つは思い付いたからな」
ウォーターマンはさっきと同様、『水鉄砲』を撃ってくる。最後に移動するかは奴の采配次第。かおリン何かを思いついたようで、その最中に水中へ飛び込んだ。
ここでウォーターマンには選択肢が発生するよな。『水鉄砲』で俺やレイを狙い続けるか、かおリンを迎撃するか。水中では『水鉄砲』が意味を成さないかもしれない。それと上下どちらの攻撃に対応もしないと駄目になる。単体対複数の場合はそうなるか。
ウォーターマンが選んだのはかおリン。かおリンの方が俺達よりも手強いなのは分かってるみたいで、攻撃が当たれば倒されるかもと恐怖があると思う。一度気絶されてるから余計にだ。
けど、かおリンはウォーターマンが水中と一体化すると、何もせず、そこから離れて俺の頭の上に乗ってくる。
「もしかして……俺狙いになるのを待つわけじゃないよな」
相手が痺れを切らすのを待つという根気な作業は嫌なんだけど……
「さっきも何もしなかったわけじゃないし。まずは一つ目。効果はあるかどうかは分からないけど、水中で『毒の息』を吐いてきた。攻撃された時も含めて、二回目」
『毒の息』を水中で吐くなんて。成功すれば、水中にいるウォーターマンだけに効果が出てくるけど。
「二つ目は……レイに手伝ってもらいたいんだけど」
ウォーターマンに毒が回るのを待つだけじゃなく、かおリンはもう一手を打つ。レイに出来るのはポルターガイストと……壁をすり抜けるのは、この階でも出来るのか?