VSウォーターマン戦 ー2ー
「水系の魔物だろ。電撃系の特技はないのか? 色んなゲームで水系の魔物は雷系に弱いと思うんだけど。他には氷系で水を固まらせるとか?」
かおリンの所持してる特技で、俺が知ってるのは『火の息』と『毒の息』だ。『毒の息』を使用したところは見た事ないけど、空中で充満するだけで、水中に逃げられたら意味がないかもしれないし。
「一応は覚えてるけど……火の息と違って、使えるレベルじゃないぞ。氷の息は寒さで防御力を減らしたり、サンダーブレスは痺れで速さを落とすぐらいか。それも直接相手に当てないと駄目だし、魔物によって効果がないかもしれないからな」
かおリンは試しにサンダーブレスを水中に向けて吐いてみた。水は電気を通す。これで全体に流れれば良いんだけど、ピチピチと音が小さく、全方位に広がる事で更に威力が低下してると思う。
「空中に逃げれば安全だと思うなよ。こっちにも飛び道具はあるんだ」
ウォーターマンは顔だけを出し、口から『水鉄砲』を放ってくる。なかなかの速度で、長時間吐き続ける事も出来るみたいで、顔の向きに合わせて追い掛けてくる。
「ちょっ……かおリンの重さがあるから、避け続けるのはしんどいって!」
必死にかわしていると『水鉄砲』が止まった。弾切れで水を補充している? 今回はこっちに軍配が上がったけど、次は体力がもたないかも。かおリンの重さで高度も低くなってきてるし。
「あいつの姿が消えてる! けど、水中で場所を移動したとしても」
下を向くとウォーターマンの姿が消えていた。水中で『水鉄砲』の水を充填するのと一緒に、別の場所に移動した? それでもMAPを確認すれば、姿を隠しても意味がないぞ。それを隠す特技でも無ければ……無いよな?
「ちょっと! 下じゃなくて、上だから」
MAPで黄色の点は消えてない。青と黄色が重なってるのは俺とかおリン、少し離れた場所にレイ。俺の隣にいるのがウォーターマンだ。またしても、真下から攻撃を仕掛けてくると思ったのに。
ウォーターマンが放った『水鉄砲』を俺は避け続け、最後には天井にぶつかっていた。実は『水鉄砲』と混ぜて、ウォーターマンは体全体を移動させていた。そこから落下しながらも腕が飛び出てきて、俺を殴ろうとするのが目に入った。横に避けるのは無理。このままだと死んでしまうかも。
「っ……それはないって!」
俺は咄嗟に頭を鎧の中に入れた。ウォーターマンの目からも鎧は見えてないはずだし、急に姿が消えたと思ったはず。問題があるとすれば、俺の上に乗っていたかおリンが代わりに殴られてしまって、水の中へ落ちてしまった事だな。