刻印
そんな世の中は甘くなく、ゴーレムが後退……というか、正面と背面が同じだから、首を回せば前進になるのか? 今はそんな事どうでも良くて! 逃げようにもガレキが重くて、バットの羽で飛ぶ事か出来ない。ガレキのてっぺんにあるのに、鎧が本当に引っ付いてからだ。
「レイ! ポルターガイストでゴーレムを引き付けてくれないか」
発見されてしまったけど、別方面から攻撃を受ければ、そっちの方へ注意が向くかも。レイは壁の中に入れるわけだし、その間に逃げる方法を考えるから。
「分かった! 倒せるとは思わないでよ」
ゴーレムの体は硬そうだから、倒す方には期待してないから大丈夫。左腕で少しでもガレキを取り除いていくしか……
「って、おい! これを使ったら駄目なパターンだろ」
レイがポルターガイストで浮かび上がらせたのは、俺が埋まったるガレキの一部。脱出するのには助かるけど、正面からだと俺が攻撃したようになるし、注意を引き付けてないじゃないか。
しかも、ゴーレムは攻撃を受けたせいか、瞳の色が緑色から赤色に変化した。これって、敵として認識されただろ? 今なら飛べそうな気がするけど、目からビームたか出すのは止めてくれよ。
「マジか……これはゲームオーバーだろ」
ゴーレムは一定の間隔で移動するらしいから、もう一体が近くにいてもおかしくない。もしくは、連動していて仲間を呼んだのか。
俺は観念して、逃げるのを止めた。亀が甲羅の中へ頭を隠すみたいに、頭蓋骨を鎧の中へ引っ込めた。ガレキが無ければ、十分隠れてたかもしれない。無惨に殺されるのは目にしたくないからな。
ゴーレムは俺の前で足を止めたのは分かり、死のカウントダウン。鎧諸共ペチャンコになるのでは? と思ったけど、両手が担ぎ上げられた。鎧ごしでも触られた感触はある。
「えっ、何? 握り潰される、それとも思いきり投げられるパターンなの?」
そんな感じもなく、恐る恐る顔を出してみると、肩に乗せられただけ。そこから何処へ移動していく。すぐに排除するつもりはない?
それよりも、側にいるから分かった事なんだけど、首辺りにマークがあった。漫画やゲーム等では、ゴーレムを破壊するには媒体を破壊するか、体に描かれた文字を変化すれば倒せる。ただ、鎧の謎のマークと同じなんだよね。『与骨』しなくても、鎧を見て、俺を仲間だと認識したのかもしれない。