新たな骨?
「本気で言ってるのか? 俺の力がどんなのか分かってるよね。デビルドッグに追い掛けられるぐらいだぞ。俺としてもベルゼブを倒さないと駄目なんだけど、何か秘策があったりするとか……」
デビルドッグに骨を奪われてる時点で、ベルゼブに勝てるわけがないんだよな。あの時、『与骨』扱いにならなかったのは、ベルゼブと敵対関係になったと判断されたからか?
「秘策? そんなのないよ。私は戦闘は皆無だし、誰かが攻めてくる事を利用するのも無理だからね。ポン骨に魔力を与える建前だから。出入口が塞がれて……ポン骨が現れた事自体が不思議なの! 何かあると思うでしょ」
「そう言われても……強い状態の時、骨を奪われてしまったからな。ベルゼブ以外から骨を補充して、強化するしかないぞ。下手したら、デビルドッグの骨をつけた方が良かったかも」
デビルドッグの姿の方が攻撃力もありそうだし、レイを頼らなくても移動出来たはず。同じ臭いなら、骨を奪われなかったかもしれない。
「そうなんだけど、魔力の提供を出来るだけ少なくと思ったの。貰い過ぎると洗脳されるかもしれないでしょ? デビルドッグの骨は体全体だったわけだし」
確かに頭以外、ベルゼブが動かすようになるのは嫌だな。けど、俺には精神耐性◎が特技にあるんだ。それをレイが知るわけないんだけど、骨が『与骨』で取られても、特技は消えないらしい。
「あ〜……俺は骨だから、精神攻撃は効かないんだよ。魔力を提供された今も問題無さそうだし……あれ? 頭蓋骨に触れてないのに話せるんだね」
「多分、ポン骨の右手を同化させたままだからじゃないの? 今は話しやすいから、この状態でも構わないかな?」
「右手だけだと何も出来ないから、こっちは問題ないよ。それで、この城にいる魔物はゾンビとデビルドッグ以外にいるわけ? 勿論、骨がある魔物で……あっ、魔物の優劣も! 例えば、ゾンビとデビルドッグはどっちが強いとかさ」
俺が見た事があるのはゾンビとデビルドッグだけ。他にいたとしても、相手から骨を奪えるかどうかだよな。デビルドッグは無理だとして、ゾンビから分けて貰えたりは……そういえば、このゾンビから骨を取ったりは……
「ちょっと! 草井さんの骨は駄目だからね。他のゾンビと違って、渋さがあるんだから。他の魔物はいないと思うんだけど、強さはベルゼブ>ゾンビ>デビルドッグ>私>ポン骨じゃないの?」
物欲しそうにしてるのがバレてしまったか。デビルドッグよりもゾンビの方が強いんだな。けど、レイは戦闘力皆無と言いながら、俺を最弱な位置にしてる辺り、本当にベルゼブを倒すつもりはあるかと疑問があるぞ。移動もままならない俺に対して正当な評価だろうけどさ。
「草井さんは他に魔物がいたり、骨がある場所とか知ってる?」
それを草井さんに聞くの! ベルゼブから距離を取ってるんだよね? 他のゾンビから情報を得たり出来るとか? そもそも、まともに話せたり
「あるよ」
「あるのかよ! 」
声が聴こえてるかは分からないけど、思わず突っ込んでしまった。レイが草井さんを渋さがあると言った意味も理解出来る。彼もレイと一緒でNPCで、この部屋にいるんだから、ベルゼブを倒すための協力者と考えていいかもしれない。
「それだよ」
草井さんが一言、指差したのは牢屋の柵。鉄棒が何本もある中、鉄なんだけど、何本も骨が繋がったような物があった。
「ああっ! 盲点だったよ。確かに骨の形をしてる。鉄だから強そうだよね。デビルドッグの噛みつきとか耐えれそうだし、叩かれると痛そうだけど、大丈夫なの?」
レイが触れてみると、『補骨しますか?』と表示が現れた。その種類が『鉄骨(汚)』。建物とかで使う道具だよな? 牢屋の柵になってるわけだし……俺の方が本当に大丈夫なのか聞きたいんだけど。