スネーク
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「はぁ……こんなにピンチが連続するんだよ」
『ヒロインの左腕』をGETしたお陰で、隠し部屋のドアを開ける事が出来た。その先は真っ暗闇だったけど、中に入るとMAP上で真っ直ぐ下にある部分まで瞬時に移動した。通ったはずの道は表示されず、振り替えると壁があるだけで、隠し部屋に戻る事は出来なかった。あそこへ唯一行く方法は落ちるしかなく、それも運が良かっただけなのかも。
「私に言われても……ダンジョンなんだから当然じゃないの? アイツの城にもいたでしょ」
「デビルドックやゾンビとは訳が違うと思うんだけど! よくMAPを完成させたな。かおリンはどれだけ強いんだよ」
MAP上に敵の位置が表示される。そこにいるのは五体だけで、カエル達と比べて野良魔物の数は少ない。けど、その魔物がゴーレムなんて。どのゲームでも強敵なんだぞ。それが待機してるわけではなく、警戒するようにダンジョンを周回してる。一体に発見されたら、仲間を呼ばれて一貫の終わりだろうな。
「私達はあれとは戦ってないよ。見つからないように隠れて行動したから。内側の壁はすり抜けて隠れる事が出来たからね。でも、この階以降は進めなかったけど」
ゴーレムが一定の速度に行く道も変える事はないのはMAPを確認すれば分かる。それはレイが一度遭遇してくれたお陰なんだけど……何か忘れてるような……まぁ、重要な事じゃないんだろう。
奴を一度見たけど、大きさは三~四メートルはあって、四階の天井の高さもそれに合わせてる感じ。横幅はギリギリで、壁を擦りながら移動している。遭遇したら、逃げれない形を取ってるんだろう。俺は人が入れるぐらいの隙間に隠れている。これは目に入ったからで、MAPには表示されてない。
「スネークしながら……かおリンも壁をすり抜けたとか?」
「すり抜けれたのは私だけね。かおリンは……見える範囲なら、あそことか」
やっぱり、すり抜ける事が出来るのはゴーストのレイだけかよ。それにレイが指差したのは床近くにある壁の割れ目。体が柔らかいスライムなら隠れそうだけど、俺には無理だ。頭蓋骨すら入るように見えないそ。
「俺には無理だろ? 頭の時点でつっかえるから。他に隠れる場所とかは」
「う~ん……空の宝箱があったり、水路があったり? 台座もあったかな」
宝箱の中に隠れるのはありだな。水路は深さによって、見つからずに進む事が出来るのかも。台座は……石像の真似をすれば……って、無理があるだろ!
「取り敢えず、宝箱が何処にあったのか、教えてくれないか」
MAPで宝箱の位置は確認出来なかったので、位置を把握しておかないと。それとかおリン達と合流するために戻るか、先に進むのどっちにするかも考えないと駄目だよな。
「確か……私が見た限りでは、こことここと……あそこだね? 私達がいる水路は反対側にあって、上の階に戻る事になるかな」
なるほど。レイが確認した宝箱があるのは三ヶ所。それは下の階、もしくは装置がある場所に繋がっていて、水路は俺達がいる反対側。下と上の階段は反対側にあって、ゴーレムは反時計回りに移動している。俺達もそれと同じ動きをした方が安全だから、先ずは下の階段を確認する事になるか。