VSカエル
「ちょい待て! 俺にも倒させてくれ。このままだと何も出来ない奴になってしまう」
このままだと『人魔大戦』が始まったとして、『人』側のプレイヤーに瞬殺されてしまいそうだ。カエル相手でも戦闘経験を積み重ねていかないと。
「別に構わないけど、私達は何もしなくていいの?」
レイはポルターガイストを止めて、草井さんは俺よりも後ろに下がってくれた。今からは俺のターン……って、何匹出てくるんだ? かおリンが蜥蜴を倒すまで? 何もしてない状態で囲まれそうなんだけど。
敵に囲まれてる時こそ、『尻尾鞭』で一網打尽だ……って、出せないんだった! 自力でジャンプしたら繰り出せるか? 羽を使って飛んだようにイメージして……あれ? ジャンプして『尻尾鞭』使っても、カエルの大きさだと届かない? 着地寸前に出しても、その後自身がダメージ受ける流れがイメージ出来るのは気のせい?
「いや、何事も経験。倒せれば問題ない!」
俺は腹に力を込めて(ないけど)、跳ぼうとしたのに、カエルの方が先に攻撃してくるなんて。レイや草井さんの時は全く攻撃してこなかったのに。
「こんな攻撃なんて」
舌を伸ばす攻撃。それほど攻撃力があるように見えないけど、防御する防具もなければ、腕もない。回避行動が正解なんだけど、体がイメージに追い付けない。だって、速さがあるわけじゃないからな。
「くっ! ちょっと、それはないだろ」
回避失敗。見た目どおりの攻撃力で、ダメージは1で済んだけど、骨を一本奪われてしまった。『与骨』扱いになるわけじゃなく、水の方へ放り投げてしまうし。大蜥蜴の骨が一本でも足りなくなると、『尻尾鞭』が使えなくなってしまうじゃないか!
「骨を奪われてしまったから、助けてください! 」
ここで死ぬわけにはいかない。それとカエルにこれ以上骨を放り投げられたらたまったもんじゃないぞ。
「もう……何しに前に出たのよ。そこまで器用に出来るわけじゃないんだからね」
レイは援護としてポルターガイストを再開してくれたけど、目の前にいるカエルだけは俺が倒さないと気がすまないぞ。
「ぐふっ!」
「ゴメン! ポン骨が邪魔で」
ポルターガイストが頭蓋骨にヒット。その勢いでモーションもなくヘッドバッドする形になった結果、カエルを撃破。俺の実力というよりも、レイが装備してる謎の首飾りの幸運のお陰か?