水の遺跡
ゴゴゴ……と音が鳴り、壁が下に吸い込まれ、下へ続く階段が現れた。勿論、先頭は狼男だ。
「ふっふっふっ……ここでアイツがどう対応するかだな」
かおリンが不気味に笑ったの意味はすぐに分かった。地下一階に着くと、先制攻撃とばかりにカエルの姿をした魔物が飛び込んできた。かおリンが前に来た時も洗礼としてあったのかもしれない。狼男の顔面に向かったけど、そのまま口の中へ。食べられて終わるという残念な結果に。ボキバキと骨を砕く音も。カエルの骨は……まぁ、いらないかな?
「くっ! 驚いた私だけが馬鹿みたいじゃないか。ここだけはポン骨を先頭にするべきだったのかも」
もしかしたら、かおリンは最初に悲鳴を上げるぐらいに驚いたのかも。狼男も一度ここに来てるはずだし、俺を先頭にしたって……骨だけど、鳥肌が立ってたな。そこはスルーしておこう。
「おっ……ここは水が流れてるんだな」
「下に行くつれ、水の部分は多くなっていくぞ。街にある井戸はここから水を汲み上げてるからな」
地下一階には水路があり、ここからカエルの魔物が出てきたわけだ……って、井戸と繋がってるのかよ! 別の出入口があったわけだ。下手したら井戸の方が近道じゃないのか?
「それは初耳だぞ。井戸に飛び込んだ方が早いじゃないかよ」
かおリンもそう思ったのか、狼男にツッコミを入れた。近道出来れば、人数も少なくて済むかもしれない。
「水系の魔物、耐性付きじゃないと溺れて死ぬだけだぞ? 」
それを言われると……あれ? スケルトンの俺やゴーストのレイはどうなんだ、
「仕方ないか。一応、敵の位置をMAPで確認するから。ここで会ったのはカエルと蜥蜴みたいな魔物だったな。何処にスイッチがあるのか分かってるから安心していいよ」
かおリンの開いたMAPは敵を示す赤い点が。敵の大きさによって、赤い点も変わるみたいだ。蜥蜴みたいな魔物というのが、少し大きな光。行き止まりになっている場所三つに配置されている。
……えっ! 蜥蜴の魔物って、漫画肉の大蜥蜴じゃないよな? 竜の肉屋の骨じゃなくて、コイツらの骨だったという……かおリンが悪いわけじゃない。(漫画肉の骨)と表示されてたから、竜の肉屋が悪い。自分の肉を売ってないという悪徳商売だ。
「おい……『与骨』はアイツが置いてからで大丈夫だぞ。カエルを仲間にするのはちょっと……」
かおリンは狼男に聞こえないぐらいに囁いてきた。本当にカエルが苦手なのかも。そもそも、狼男が先頭に立っている時点で、野良魔物を倒すから『与骨』する暇がないんだけど。