何かの伏線ですか?
「でも、出入口の表示がEってマークなら、階段とか先に行く道がないんだけど?」
かおりんが表示したMAPで確認すると、一本道を進んだ先にあるのは行き止まり。出入口のマークがあるなら、階段や落とし穴とかでも表示されるはず。レイは『この階は』と口にしてたし、先に進む手段はあるはずなんだけど。
「それは先に進めば分かるんだけど……あっ! また勝手に行っちゃうし。本当にポン骨の『与骨』は効いてるの?」
「先頭の矢面に立つわけなんだから、ましな方だろ?『与骨』も万能じゃないんだし」
かおリンが聞くのならまだしも、レイがそれを言うのか? 『与骨』じゃなくても一緒の立場だし、レイの方が自由勝手に動いてるだろ。ツッコミたいけど、レイが持ってるのはかおリンで、俺の頭蓋骨じゃない。右手も同化してないから、二人だけの会話は無理なんだよな。
「敵はいないんだけどな。まぁ……力仕事は奴に任せればいいだろ」
力仕事? 敵がいないなら、力なんか関係ないはずなんだけど、理由はすぐに分かった。
「一回外に出るとか、他のプレイヤーが入ると元に戻されるわけだな」
行き止まりまでは十分も経たないうちに着いた。少し広い空間で、壁の両端には人の形をした石像が置かれている。それと床には何かが引き摺られた痕があって、石像から床の一ヶ所まで続いている。つまり、かおリンが言いたいの石像を移動させると、道が開かれるわけだな……待て待て! かおリンやレイが石像を動かすのは無理だろ。草井さんの両腕が役に立ったのか?
「下の階にもこの装置はある。だが、次第に置く物が無くなり、誰かが残らないと駄目になっていく。それが争いを生む形になるわけだ。俺達も人間の文明には興味があるからな」
『分裂』や『与骨』等、そういう特技でもなければ、集団で攻略しても最後まで行けるのは一人だけ。その一人を争うから攻略出来なかったわけか。それよりも隠しダンジョンが『人間の文明』というのが気になるぞ。
以前、人間は魔界にいた設定? 石像は人間の姿をしてるし、俺の今の姿は置いておくとして、レイや草井さんも人の姿をしてるんだよな。人間界にも野良魔物がいるわけだし、何か伏線がある? と思うのは俺だけか?
「くっ……これで道が開くのだが、お前達も運ぶのに協力しろ……というのも無理な話なのか」
石像は狼男一人で動かしてくれた。結構息を切らしていて、プレイヤーでも『力』のポイントが足りないと動かないかもしれない。俺やかおリンは手がないし、レイはすり抜ける。草井さんに刺さってるのが鉄骨じゃなく、木の枝だから、踏ん張ると折れそうだ。