隠しダンジョン
鞄を置いてたから学校にいると思ったら、実は家に帰ってた? それなら放課後に鞄を取りに来なくても明日でいいだろ? 学校をサボって魔人天生なんて羨ま……どれだけ魔人天生が好きなんだよ。
「家に帰ってるなんて思わないだろ。それに一回ログアウトしたはずなのに、レイ達ともう一度会ったなんて偶然はないよな?」
「一度行った事がある街やダンジョンなんかは、部屋を出る時に選択出来て、転送して貰えるんだよ。その中にポン骨の部屋前も登録されてたから」
なるほど、開始がマイルームから始まる以上は転送は必要だよな。折角移動なのに、一からやり直しはあまりにも鬼畜だ。だけど、俺のマイルームが選択出来るのは駄目だろ。空き巣に入れないよう鍵が掛かってるかもしれないけど、『人』パックなら着替えが覗き放題になるかもしれないだろ。『魔』パックではそんな事……羨ましくなんてないんだからね!
「それはそうと、お土産があるんだ。レイにもポン骨が必要としてるのも聞いたからさ。特技も聞いて、バットの骨を吸収してたもんな」
特技を教えたって……何やってるんだよ。『補骨』の方は見られてたか仕方ないとして、『与骨』はかおリンと戦闘する場合、かくし球として用意出来たのに。そこは説明……してないか。レイと草井さんをプレイヤーと勘違いさせとくだけだったけど、察してくれよ。
かおリンは俺の話を反らした感はあるとはいえ、かおリンがテーブルに出したのは何かの骨が十数本。こんなにあれば『補骨』でかなりパワーアップ出来るけど。
「……何が目的だ。イベント前の俺を強くさせる意味はないだろ? わざわざ部屋に来るぐらいだし」
こんな事するなんて怪しすぎるだろ。これ以上は聞かないでというなら喜んで骨を貰うけど、こんなにも多く持ってきたのなら別の目的があると思ってしまいぞ。それと骨の手に入れた狩り場を教えて貰えたら……
「隠しダンジョンを見つけたんだよ。そこはソロ推奨なのに、用意された装置が一人だと無理っぽいくてさ。『分裂』の特技は持ってなくて、でも、見つけたからには攻略したいだろ? だから、レイ達に手伝って貰おうと思ったんだけど」
隠しダンジョン……誰も攻略してないなら、最初にクリアしたいと思うのは無理もないかも。俺がいない間にレイと草井さんを連れて行く方法も、かおリンにはあったと思うけど、レイが断ったのかな?
「それでも先に進むと、人手が足りなくなるんだよ。そこで、レイからポン骨の『与骨』について聞いたわけだ。分け与えた骨によって、野良魔物が言う事を聞くって。それを聞いたからには、利用するしかないだろ?」
レイ達を連れて一度は行ってるのかよ! それで失敗して、俺を頼るしか方法がないわけだ。それでも、かおリンが用意した骨は、俺を強化するためじゃなく、『与骨』で野良魔物を従わせるようにするためなんだな。