表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
骨・骨・骨!  作者: マネージャー
39/324

私はスライム

 空凛薫(そらりんかおり)。俺は只野司代(ただのしだい)だから、名前の順で前の席になるわけだ。彼女の名前を知ってるのもクラス発表の紙に書かれていて、今日のSHRで紹介する形になってるんだけど。



「ヤバいって! 職員室で転校生を見たんだけど、かなりの美人。タイプは違うけど、天野さんレベル。天野さんが天使なら、転校生は悪魔タイプ?」



「俺もすれ違った! 前の制服を着てたよな? お前の言いたい事分かるよ。綺麗だけど、話し掛けづらそうな感じなんだよね」



 天野さんが教室にいるのに、よく転校生と比較出来るよな。とはいえ、天野さんと同レベルの美人が前の席に座るなんて、俺も阿久野みたいに緊張してしまうぞ。まぁ……モブ眼鏡な俺よりも、前の世良君に話し掛けるんじゃないか? それと休憩時間は、俺達の席は奪われそうだ。阿久野の席は天野さん達に。俺の席は転校生に話し掛ける奴等に。



「おい! 席につけ。昨日話したように、転校生の紹介をするぞ」



 チャイムが鳴ると同時ぐらいに、担任が教室に入ってきた。その後ろに転校生の空凛。教室の男子達の会話で『悪魔』という意味が分かった気がする。腰に届くまでの長い黒髪に、セーラー服でロングスカート。鋭い目付きにクールな顔立ちで、その姿は女番長な雰囲気を醸し出してるからだな。それに中性的な感じが宝柄(たからつか)女優みたいで、男女ともにざわついてる。



「静かに! 空凛は簡単に自己紹介を頼む」



「空凛薫。私はスライム。魔人天生以外に興味がないから、プレイヤー以外は話し掛けないでくれ」



「『……』」



 声も格好良よくて、男っぽい話し方なのは良いんだけど、『私はスライム』って、ぶっこんで来たな! 違った意味でヤバい奴だと思われたって。女子の声で『魔人天生』って何? という声も聞こえてくる。VRゲームに興味が無ければ知らないだろうさ。



「えっと……以上みたいだな。あそこに空いてるのが空凛の席だ」



 担任はこの空気を無視して、SHRを早く終わらして、そそくさと教室から出ていってしまった。その後、あの言葉のおかげというべきか、周りは話し掛けるのに一歩踏み出せないでいる。プラス、前の席の世良君は簡単に撃沈されたからな。



 けど、俺は気になる事があって、ある言葉を呟いてしまった。自己紹介もそうだけど、世良君を一蹴した声や話し方が似てたんだよ。名前も(かおり)だし、『かおりん』って。こんな偶然あるわけないし、馴れ馴れしいと殴られてもおかしくなかったけど……



「『かおリン』だって……ただの死体……(くさ)いか?」



 空凛さんは本当にかおリンっぽい。けど、草井さんじゃないから! 名前がただの死体に似てるからって、ゾンビを選ばないぞ。それに『臭い』じゃなくて、『草井』! 俺と同じ発想だけど、周りからは俺から変な臭いがするみたいじゃないか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ