レイも裏技でイベントに参加します
「あのさ……街の中でもイベントいうのに大騒ぎしてたけど、一体何なの? かおリンがポン骨の敵になるみたいな言い方してたよね? 」
『魔』パックの初イベントだから、街の中のプレイヤー達がはしゃぐのも無理はないか。下手したら戦闘でも始まりそうな勢いだったかもしれない。
「まぁ……お祭りみたいなものかな? 俺やかおリンみたいな魔物をプレイヤーと言って、今回のお祭りは一対一の勝負。勝った方が負けた奴を期間限定で手下に出来るわけだ」
「期間限定って、人魔大戦って言葉が出てた」
「違う世界にいる人という種族と戦争する一大祭りというべきか」
レイや草井さんもNPCながら、内容を知ってるのかと思ったら、そうじゃないみたいだな。俺もどう説明すればいいか難しいんだけど。
「何それ! 祭りだったら、私や草井さんも参加したいよ。誰でもいいからかかって来なさい」
プレイヤーじゃないレイと草井さんに相手はいないから。逆に運営から連絡が来ていたら驚きだぞ。
「レイや草井さんは俺達プレイヤーと違うからさ。かおリンや街のプレイヤーは勘違いしてるみたいだけど……あれ? ちょっと待てよ」
レイと草井さんみたいなNPC、サポーターはかおリンだけじゃなく、バットにもいなかった。しかも、二人は俺の装備扱いになってるわけで、一体一の戦闘に参加出来るんじゃないのか? それにスケルトンの特技『予骨』で野良魔物を利用して、数で圧倒する事も。特技の一つだから、それが無理なら連絡があるはずだし。
次のイベントでは師匠に勝てないと思ったけど、レイや草井さんの協力と、仲間集めをすれば少しは勝機があるかも。もしくは『補骨』で自身を強化。『予骨』するにも『補骨』で骨を集めないと駄目なわけだ。
「レイや草井さんは、俺と一緒に戦うなら問題ないかも。かおリンが最初の相手だとしても大丈夫か?」
「負けたら、かおリンの手下になるんだよね? ポン骨にしたら、それもありだと思うよ」
うっ……それは否定出来ない。俺が師匠を手下として扱うなんて無理だと思うし、レイや草井さんでも俺の言うことなんて……
「けど、負けるつもりで戦うつもりはないよね? お祭りなんだから、はしゃがないと!」
レイは負けるつもりはないみたいだ。草井さんも頷いている。
「という事は、スケルトンの強さを見せつける場面だな。かおリンには勝たせてもらう。そのために……漫画肉はかおリンに渡したけど、レイが食べた漫画肉の骨は持ってきてくれたよな?」
かおリンにあげた漫画肉は諦めよう。助けて貰ったし、動き方も教えて貰った。草井さんの両腕があれ程パワーアップしてるんだから、漫画肉の骨には期待出来る。草井さんは無理でも、レイが骨まで食べるとは思わない。
「あっ……ごめんなさい。あの骨、誘惑の香水と物々交換したから、手元から無くなっちゃった。漫画肉も売り切れで……でも、竜の肉じゃなかったみたいだよ」
漫画肉が竜の肉じゃなくても、誘惑の香水と骨を取り換えるなんて……その胸の大きさがずっとだったらまだしも、一時的なものなんだよね。出だしから躓くとか先が思いやられるぞ。