イベント発表
「待てよ。この頭蓋骨はレイの体の一部だよな。盗む事が出来るもんかね? 殺されたとして、一緒に消えると思うんだけど」
怪しまれるよな。バットが骨化した事で一緒に落下したけど、かおリンは自身をクッションにしてくれたおかげで、転落死しなくて済んだ。今もポヨンポヨンとトランポリンみたいに跳ねてる。
「レアアイテムなら、道具袋にも入らないんだよな。こういう時に連絡出来れば楽なんだけど。取り敢えず、ドロップを回収しておくか」
かおリンは俺を運びながら、転がってるバットの骨へ近付いていく。
『滅茶苦茶欲しい! ドラゴンの骨は無理だったんだから、これは手に入れたいんだけど……』
かおリンは俺を助けるため、バットを倒し、その報酬が骨。それを手に入れる権利があるのは勿論かおリンだ。けど、目の前に骨がある。俺の物になってないのに『補骨しますか? 』という誘惑が……
「骨か……牙とか羽なら欲しかったけど、骨は野良のバットがよく落としたからな。道具袋も無限じゃないし、止めとくか」
放置するの! 時間が経てば消えてしまうかも。レイ達が来るまで持たないかもしれないし、『補骨』するなら今でしょ!
『あっ……やってしまったかも。かおリンが目の前にいるのに』
「何だ……骨が光の玉になって、俺に向かってくる……んじゃなくて、その上?」
『補骨』したいと思った事が、選択肢のYesを選ぶ事になってしまった。バットの骨が光の玉になり、俺と一体化する。その結果、人の耳のある部分、左右両方から骨の羽が生えた。
バットの翼骨を『補骨』
HP +5
速 +3
魔力 +3
幸運 +2
『おおっ! 翼って事は空が……飛べないのかよ!』
翼が腕の部分なら上下に振ったりすればいいと思うんだけど、耳となると象みたいに動かした事がないから分からないぞ。
「おいおい……変な事になってるんだけど。私が何かしたか? 勝手に骨同士が吸収したわけで、レイにどう説明すればいいんだ?」
『補骨』する事を見られただけでなく、レイに対して申し訳ない気持ちになってるかおリンを見ると、こっちの方が申し訳ないから。今度こそ、正体を教えるべきだな。
そう思ったタイミングで、プレイヤー全員というか、魔界全体に運営からの連絡が流れた。
「お待たせしました。イベントの告知です。今日から一週間後、プレイヤー、一対一の対戦を行います。勝者は最初の人魔大戦において、敗者を手下として扱えます。日数は二日。一日三回まで対戦を継続可能で、合計六回。それを全て参加する必要はありません」
『人』パックはギルド戦らしいけど、こっちは個人戦か。しかも、勝利すれば人魔大戦において、リーダー的立場になれるわけだな。
「このイベント、最初の対戦相手は貴方のもっとも近くにいるプレイヤーです。まだログインしてない状態であれば、ログイン時に一番最初に会ったプレイヤーが相手です」
ちょっと待て……一番近くにいるプレイヤーって、かおリンになるんじゃないか!