強制ログアウト
「レイは私の現実の姿を知らないからな」
かおリンはやれやれと頭をかきながら、何事もなかったように話し掛けてくるけど。
「空凛さんなの? 只野……ポン骨は何も言ってないって」
愛毒は俺が犯人だとばかりに睨んでくるけど、かおリンには何も言ってないから。阿久野の奴が空凛さんに連絡出来るわけがないし……
「言ってないわね。毒島先生がもう一度ここに入ろうとしたの予想外だったけど。ポン骨をそそのかしたのはアンタか」
「ば、バレてるの!!」
愛毒が毒島先生だと一発でバレてしまった……学校に関連するなら、愛毒に似てるのは毒島先生になるか。
「それは置いといて、かおリンは人間の姿のままなんだよ。ここは一体どういった場所なんだ?」
かおリンはこの学校について何か知っている、そんな素振りだ。朝早くから学校で見かけたのも、それが理由かもしれないぞ。
「何も知らないで入ってくるからだろ……本来は逆なんだよ。アンタ達が来たせいで、余計におかしくなったんだ」
それは俺に怒るよりも、愛毒が悪いんだからな。
「本当にかおリンなんだ!! 滅茶苦茶美人だよね!! 私が知ってる誰かによく似てる」
レイはかおリンが助けに来た事よりも、現実の姿を見れた事を喜んでるよな。しかも、知ってる誰か? は知らない奴だろ。
「はいはい……この学校は一度崩れるから。それに巻き込まれると意識が戻らないよ」
かおリンが忠告してから、地震が起き始めて、俺達がいる反対方向から崩れていく。赤い表示の学生服を着た何か……生徒達はそれから逃げようとしたのかもしれない。
それでも俺達が開いた渡り廊下の扉は閉まり、無理にでも開ける事は出来ないみたいだ。それは逆側も同じで
「開かないんだけど!! 体当たりでも無理。レイが通り抜けるのは」
扉は閉まっている。レイが通り抜けを試したけど、弾かれてしまう。
その間に、カメラ以外の何かの機械が空を飛んで、こっちに向かってきてるぞ。明らかに攻撃態勢に入った感じなんだけど!!
「アイツらは私が何とかする。アンタ達は祈っておきなさいよ。念のために、強制解除させるように頼んであるから、それが間に合うかどうか」
かおリンがそう言ってる間に、愛毒の姿が消えてしまった。もしかしたら、かおリンが警備員に俺達が隠れている事を話したのかも……
「悪いけど、ポン骨達にはここの事は忘れてもらうから。忘れてしまうのが正しいのかもしれないけどさ」
愛毒に続いて、俺もこの学校から強制ログアウトする形に。レイは……かおリンが何とかしてくれるはずだ。