鉄骨
「『与骨』? アイツをどうにかする方法があるの」
「無理無理! 条件を絶対満たさないって」
愛毒に『与骨』の情報を教えるのが嫌だったわけじゃないぞ。人の形をした骨に未練タラタラなのも否定しない。
「『与骨』は俺の骨を与える事で命令する事が出来るようになるんですけど、その骨が相手を強くさせれるのか。相手が拒否する事もあるし」
ほんの少しのパワーアップでは駄目だ。それに白騎士が骨を欲しがるとは思えないんだよ。右腕が無いけど、他の骨で代用出来るか。『ヒロインの左腕』はそもそも無理だし。
「拒否するかな? あの白騎士は草井さんでしょ?」
「……はっ? 何で草井さんになるんだよ」
レイは何を根拠に草井さんだと思ったんだ? 長年の付き合い……なわけでもないだろ。草井さんが片腕になった事も、レイは知らないはずだ。臭いだって、人間の……右腕は無くなってるから、臭いは元に戻った? そもそも、草井さんが俺達を攻撃するなんて……思いたくないぞ。
「だって……ポン骨の装備になるため、草井さんの体に埋め込まれた鉄骨だよ? あれを持ってるのは草井しかいないんじゃないの?」
レイが見たのは鉄骨の方! 剣の姿になってるけど、鉄骨の時もちゃんと見てたのか。あの鉄骨が姿を変化させれるなんて、教えて貰ってないんだけど? そういえば、かおリンは草井さんだと思って、骨を持ち帰ってきただけで、鉄骨は無かった。草井さんが鉄骨を装備してたのは、かおリンも知ってるよな? つまり……草井さんは今も鉄骨を所持している。俺の装備から外れたから、別の形で持っていれば、武器として持ってる事も考えられるのか?
「可能性はゼロじゃないけど、確証が欲しい。今の骨が草井さんのなら返してやりたいけど、サタリアはそれを否定したからな」
一番良いのは白騎士の兜、仮面を外して、素顔を見る事……いや、魔力次第で草井さんの顔が変わってたりするのか?
「ちょっと、悩んでる場合! 図書室か階段を選ぶかなのに……こうなったら、図書室にするわよ。エリア移動に入るなら良いし、違った場合は、『ポルターガイスト』で物をぶつけて、顔を見えるようにすればいいでしょ? 本来の図書室なら椅子や本棚とか、動かせる物は多くあるわけだし」




