意外な言葉
「貴女達のボケツッコミはいいから、どうするの? 胴体を囮にするなら、白騎士の方に向かうぐらいはして欲しいけど……この先は階段の監視カメラがあるし、避ける暇はないでしょ……ん!」
そろそろ階段に付く。監視カメラがあれば、胴体部分は……確実に映るのか? いや、怪しい格好で大丈夫かもしれない。頭蓋骨とヒロインの左腕が外れたお陰で、謎の鎧は視覚化されない。足の骨部分だけが見えた形だ。愛毒が謎の鎧部分を触っても、通り抜けてしまってる。
「そういえば、俺とレイ以外は体全部揃ってないと謎の鎧は見えなくなるんだよ。今は足だけしかないから」
「それなら、監視カメラに映っても大丈夫……なわけないでしょ。余計に恐くて、確認するでしょ!」
それは否定出来ないか。その前に、白騎士に発見された時点で警報が鳴ってもおかしくないよな? 白騎士もイレギュラー……いや、階段を降りてきたんだから、映像には映っているはずだろ。それとも、あの白騎士は幽霊系か?
「う~ん……白騎士に見つかっても、警報が鳴らないのが気になるんだよな。もしかしたら、今は監視カメラが起動してないのか、単に人手が足りてないのかも」
バイトでも店長が出勤日数を増やさないか? とグイグイ言ってくるんだよね。仕事するのは何処も人手不足だったりするのは分かるぞ。
「分かるわ~……じゃなくて! そう思うだけでしょ? 引き離すのが無理なら、エリア移動するしかないわよ。そこで一旦途切れるかもしれないし」
エリア移動か……そこで区切れるのは確かだけど、物音に反応して、白騎士は四階から降りてきてるんだよな。MAPだと階で分けられてるけど、エリアが一帯化されてたら、下にもついてくる。
「むしろ、階段を使うよりも、部屋に入った方が安全なのかも。それもエリア移動にはなるはずだし」
目と鼻の先にある図書室だ。あそこに黄の光がいるし、本当に安全地帯なのかも。図書室に重要な物があるとすれば、下手に戦闘を行えないかもしれないぞ。
「レイはどう思う? エリア移動はありとして……どうした?」
レイは白騎士を見ながら、前へ進む。前方不注意は危険なんだけど……愛毒が言うように、謎の鎧部分を向かわせるつもりか? 足が破壊された場合、謎の鎧は放置……外れないようになってるから、どっちに呼び戻されるんだ?
「……『与骨』するのは無理なの?」
レイは意外な事を口にした。




