教室内
「私は構わないけど? すぐに鍵を開ければいいんだよね」
レイは簡単に了承するけど、自分が一番危険なのを分かってないだろ。けど、二人の意見が一致したなら、俺が反対して、気まずい空気になるのも面倒か。一応、小窓から確認した場所でも構わないみたいだし。
「はぁ……まずは顔だけ、上半身だけで覗くんだぞ。小窓から見える範囲も限られてるからな。それと場所が場所だけに、安易に鍵を開けるのも危険だぞ」
「母親か! 心配なのは分かるけど、それぐらいは判断出来るでしょ」
愛毒がツッコミを入れてくるけど、さっきの隠し階段から追い出される姿を見ただろ? 敵がそこに閉じ込められてるのも確認せずに鍵を開けるかもしれないから。
「念のためだよ。レイが部屋に入った事で下手に刺激されて、敵が飛び出すかもしれないでしょ? 最初は普通の教室で試すんだろうけど」
黄の光がいる場所は、西校舎の北側奥。学校の図書室にあたる場所。そこに行くまでに二年の教室が続いている。そこは俺や空凛さん、天野さんと阿久野の教室も勿論含まれてるぞ。
「あそこは図書室……学校司書の彼女も含まれるわね。仲間のような気がしてたのよ。図書室もPCはあるはずだし」
愛毒の仲間? 手下達はオッサンばかりだった気が……もしかして、オタク仲間? 俺も学校司書の人は見た事ある。眼鏡を掛けたおさげ髪。文学少女……少女ではないけど、そんな雰囲気がある……見た目で判断するのは駄目だけど……
「う~ん……図書室に行ってみたら、分かる事だし」
やっぱり、俺は『魔人天生』で会った事はないと思うけど? 会った時、レイに反応があるかどうかだよね? 黄の光が図書室だった場所から、一向に移動しないのも気になる。本当に図書室と同じで、何かの資料が置かれてるのを調べるため?
「ねぇ……内側からも鍵が必要みたいなんだけど?」
俺と愛毒が図書室の事で話してる間に、レイは教室の中に忍び込み、廊下側に上半身を出してる。というのも、強制的に廊下へ出された時、階段の直前、教室は目と鼻の先にあった。隠し階段があったのも、窓と窓の間にある壁。学校の外、暗闇の部分に階段があったわけだ。
「入る前に声を掛けなさいよ。私達が教室との違いを見てからで……」
俺達がレイを無視して話してるのは悪かったけど、そういうところだぞ。俺達が現実の教室との違いを見てからの方が良いんだからな。
「どうしたんです? 普通の教室とは違ってるんですか?」
愛毒が覗いたみたいに、俺もドアの小窓から確認。ドアは一緒みたいだけど、内側からは開けれないんだな。その時点で違ってはいるんだけど。
「……ん? 机の代わりに、箱?」
教室には机の代わりに、人が一人入れるぐらいの箱? 掃除道具入れみたいなのが並んでいる。黒板にはディスプレイになっていて、見た事もない文字が羅列して映し出されてる。