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「私は音楽準備室から始まったんじゃなくて、別の場所だったのよ。コイツ……彼女がいるなら、この部屋がマイルーム扱いになってるかもしれないわね。髪や肌の色とか、マイルームなら変更可能でしょ?」
マイルームで『補骨』はよくするけど、骨の色を変更したりはしなかったな。レイの髪型や服装も実は選ぶ事が出来たり?
「それって……この部屋から出て、スケルトンになってたら『魔人天生』かも。MAPも確認出来たら、楽なんだけどな」
「そこまでの余裕は無かったからね。ドアを開けて、廊下な出るから」
毒島先生が音楽準備室から廊下に出ただけなのに、その姿が消えてしまった。転移した? というか、この部屋と廊下が区切られてるという事だよな?
「こうなると……部屋から出ればスケルトンになるのが、現実味を増すよな」
「転移したわけじゃないんだよね。ここはダンジョンのみたいな物なの? 勿論、私も一緒について行くからね」
まぁ……ここにレイがいる時点で、ついて来るとは思ってた。ポン骨や愛毒に切り替わっても、それが中途半端で特技が使えなかった場合、レイなら『ポルターガイスト』とか使えるような気がするんだよね。壁のすり抜けるのも効果がありそうだし
「はいはい……置いていく方が逆に危険かもしれないからな」
それを思ったのは本当だぞ。この部屋に閉じ込められて、本当の『魔人天生』に戻れないかもしれない。この部屋から出た事で、元の世界に戻ってしまったら、それはそれで良いと思うし……あれ? 準備室のドアを開けた事で光が少し漏れて、暗闇の中で分からなかったけど、レイの姿が少し違ってたような……
「ほら! この通り。サキュバスの姿になってるでしょ」
「……それは俺もスケルトンになってたら分かる事なんで、わざわざポーズをとらなくても。ここにきて魅了される事もないし、場所を考えようよ」
愛毒は俺達が外に出たところを見計らって、一回ターンをしてからのポーズ。コスプレを意識してるのもあるかもしれない。色気ある姿に釘付けにするのも……
「……何? 私も愛毒みたいにポーズを取るのはちょっと……恥ずかしいというか、自分でもちょっと引くかも」
「ちょっと! それだと私が恥ずかしい奴でしょ。取り敢えずは一回ポーズは取っておくべきなの。ポン骨も私じゃなく、レイなら良いかもと思うのは止めてよね」
そこで張り合わなくても……俺は愛毒のポーズのせいで、レイの何処か違っていたか分からなくなった。それを確認するために、準備室に戻るわけにもいかないだろうな。多分、レイ本人も気付いてないだろうし。