盗まれたのは……俺!!
「狙われるのはポン骨じゃなくて、持ってる私だからね。それでも、商売をしてる人達が狙われるのが多いみたいだから大丈夫じゃないかな? 素材だって、私達が何を持ってるかなんて、相手には分からないわけだし」
店を出す場合は商品が陳列されてるわけで中身は見えてる。けど、道具袋に入ってる素材は他プレイヤーには分からないから、狙うのは難しい。そもそも、俺を表に出してる時点で素材と思ったら駄目じゃないか? レアアイテムは道具袋の中に隠すはずだろ。
『なるほど。最悪装備品と思われるぐらいで、それが出来るのも限られてるから大丈夫か。それなら安心して骨屋を探せるな』
この街に来たのは骨を手に入れるため。かおリンの回復アイテムよりも、先に骨屋を探さないと。売ってるとしたら、スケルトンだと思うんだけど。
「すみません。昨日、スケルトンの骨屋があったと思うんだけど、何処にあるか分かりませんか?」
レイはさっきの警備員の一人を見つけて、骨屋がある場所を尋ねた。警備員はPK等を捕まえる役割で、プレイヤーじゃないはず。俺を狙うわけがないからな。
「スケルトンの店か? 彼は食べられて、商品も一気に盗まれ、その店は閉店したな。その相手は上手く逃げられてしまったからな。復活する事もないし、骨を売ってる商人は他にいなかったと思うぞ」
骨が無いなんて、俺は何しに街に来たんだよ。しかも、商品が盗まれただけじゃなく、食べられるなんて。スケルトンは狙われやすいのか?
『おいおい……物騒な話じゃないか? 骨が置いてないなら、早めに街から出た方が』
草井さんが一つの店を指差した。そこはオークじゃなく、竜がやってる肉屋。何でもバクバク食べてたのに、まだお腹が満たされないのか?
「骨なら、あるぞ」
「本当だ! 草井さんは目の付け所が違うね。これでも大丈夫だよね?」
竜の肉屋が売っていたのは漫画肉ならぬ、骨付き肉だ。肉を食べれば、骨が残る。しかも、売ってるのが本人の肉なら、竜の骨を『補骨』出来る事になるぞ。これは姿はともかく、パラメーターも期待出来るはず。そのためには物々交換に成功しないと。
『本当に竜の骨だったら、当たりだと思うぞ。俺が骨じゃなかったら、食べたいぐらいに肉が美味しそうだし』
草井さんは漫画肉と物々交換として差し出したのは、まさかの自分に生えたキノコと草。それは逆鱗に触れて、焼き尽くされてもおかしくないだろ? と思ったら、漫画肉を二つと交換成立している。
草井さんの×××をかおリンは躊躇いもなく食べたけど、草井さんから生えたキノコや草は意外とレアなのかもしれないな。
「ねぇ……特別な肉だったら、私も食べれたりしないかな?」
レイも漫画肉が美味しそうに見えたらしく、ゴーストなのに草井さんから漫画肉を受け取って、食べてみようと片手を前に出した。
「隙あり!」
そう言ったのは蝙蝠型の魔物であるバットで、左目の空洞に鉤爪を引っ掻けられて、レイは俺を奪い取られた……ら駄目だろ!