愛毒は女教師?
『分身』が側にいないと解除出来ない? それとも子供天使が『分身』に何かをしたのか? 『分身』が消えるのは解除か、頭蓋骨が破壊された時だから、無事ではいるんだろうけど……
「思い出した! 『分身』が消えても、骨は戻らない。しかも、骨は骨でも、頭蓋骨が必要なんだよな……ないじゃん。助けに行くか、他の頭蓋骨を探しにいかないと駄目なのか……」
あれは俺が死んだ時のドロップアイテムだよな。他の頭蓋骨でも大丈夫なのか? 俺の頭蓋骨じゃないと駄目なら……後にしたいなぁ。俺が死んだとして、レイもマイルームに戻る事になるし、かおリンに拾って貰うしかないんだよな。手下になった愛毒に頼むのは……進化素材に必要っぽそうだし、パクりそうだ。
「なら、新しい頭蓋骨を見つけてくればいいわけね。私も草井さんや分身一号が戻ってこないと寂しいしさ」
分身一号って……レイも二号を作るのは賛成してるみたいだけど、外に出る気満々……壁を通り抜けて出て行ってしまったよ! ホイホイと頭蓋骨が落ちてるとは思えないし、野良魔物は駄目で、他プレイヤーの頭蓋骨なら……かもしれないのに。
「レイも出て行ってしまったし……ログアウトするか」
俺もレイの後を追いかけれないか試しはしたけど、マイルームのドアを開ける事は出来なかったし、転移するのも無理だった。ログアウトは……無事出来たぞ。
★
「阿久野の奴……またかよ。遅刻しなければいいけど」
いつもの時間に姿を見せない。『人』パックのイベントの事を聞きたかったのに、また徹夜でもしたんだろ。コネクトも既読がつかないし。
一人で登校。流石に天野さんは連続で休んだりしないだろうけど、空凛さんは……休んでもおかしくないような……
「はぁ……昨日は散々だったわ。負けてしまったし、休めという御告げかもしれない……あっ! おはよう」
「へっ? お、おはようございます……あれ?」
学校の中に入っていくという事は教師? 俺も教師全員の顔を覚えてるわけない。あっちも通り過ぎる時に挨拶しただけなんだろうけど、愛毒の顔に似てないか? 独り言も聞こえてきて、声もそうだし、その内容も……流石に偶然か。
「毒島先生がどうかした? 只野司君の選択は音楽じゃなかったよね。人気のある先生だよ。只野司君の好みは年上の人がタイプなんだ?」
「世良君? 全然違うから。あの先生は……人気があるのか」
「まぁ……只野司君は空凛さんと仲が良いからね。毒島先生は綺麗なのもあるけど、生徒と仲良く接してくれるんだよ」
声を掛けてきたのは世良君。毒島先生は音楽の先生なのか……芸術の選択授業は音楽、美術、書道、情報の四つあり、俺は美術を選んでたから。愛毒の名前に『毒』の一文字があるんだけど、世良君から聞く毒島先生と愛毒の性格が一致しないな。