到着しました
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「ほら、着いたぞ。何度も来てると思うけどさ」
塀に囲まれた大きな門があって、そこが街の入口となってる。門は俺達が近付くと自動的に開いた。手動だと今の俺やかおリン等、手がない魔物は入れないからな。
「ありがとう! お礼をしたいから、一緒に街を回らないかな?」
かおリンの護衛のお陰で、魔物に襲われない状態で街に着いた。かおリンはこの付近の野良魔物より強いみたいで、発見されても野良魔物達の方が逃げ出していく。だから、野良魔物が落とす素材が全く手に入らない。強くなれば、弱い魔物の素材が集めにくくなるのも上級者向けだな。
「そうか? それなら遠慮なく貰おうか。回復アイテムは多く持ってきたいし、今は状態回復しとかないと駄目だからな」
かおリンは×××を食べた影響で、体がその臭いになってる。それも状態異常という事で、アイテムで回復するらしい。それを俺は近くで嗅ぐ事になったのは地味にきつい。
というのも、かおリンは俺の上に乗っていて、レイが一緒に運んでいるからだ。スライムは手足がなく、頭だけで動いてると言ってもいい。前に進むには遅く、跳んで移動するのはHP関係なく、走ってる状態のような物で、体力的にしんどいとかおリンは言っている。
レイがかおリンを運ぶのを了承したのも、ベルセブの城にいたお陰で臭いに耐性があるからだ。側に草井さんもいるわけだし。
「森では状態回復のアイテムは落ちてなかったもんね。色々と教えて貰えて助かったよ」
「レイが拾わなすぎなだけだろ? 何がアイテムか分からないから、色々と触れてみたいと駄目なんだからな。草井さんを見習えとまでは言わないけどさ」
魔物の素材は無理でも、森に落ちてる素材は教えてもらった。主に草やキノコ、たまに石系だ。それを草井さんは警戒もしないで食べた事をかおリンは言ってる。そのせいでキノコだけじゃなく、体毛みたいな感じで草も生え始めた。
レイの場合、次々と俺の口を開けて、中へ突っ込んでいく。『食べる』という選択肢は出てこないけど、そのお陰でアイテムが道具欄に埋まっていくのは助かるんだけど……
『おおっ! ここの街はキャラバンというか、バザーみたいな形なんだな』
街は建物は一切なく、地べたで物を売っている形式だ。テントや地面に穴が空いた場所だったり、大きな木等が種族別の宿屋になってる。そのため、街にいるNPC、その中にはプレイヤーもいるはずだけど、様々な種族が物を売ったり、歩いたりしている。
『そうなんだよ。色んな種族がいるから、スケルトンが骨を売ってるかもしれないでしょ?』
スケルトンが骨を売っていたら助かるけど……売る? どうやって、物を買うんだ? 所持金は0だし、歩タンゴも落とさなかった……草井さんが食べたって事はないよな?