フレンド申請出来ません!
「あっ、ぐっ!」
「ん、変な声が聞こえたけど、珍しい花の魔物か? それなら食べておくべきなんだけど……気のせいか?」
かおリンに声を掛けようとしたのに、レイが口を閉ざしてきた。舌があったら、思い切り噛んでたところだぞ! かおリンも俺が変な声を出したから、周囲を確認し始めたし。
『何するんだよ! 俺もかおリンと話したいぞ。プレイヤーとも初めて会ったわけだし、強そうだからフレンド申請……』
声を出さないでも、レイと話せるのは健在だ。勿論、右手は草井さんの一部? になってるから、レイが俺を持ってる状態なのが条件だろうけど。
『プレイヤーって、ポン骨みたいなのを言うんだよね。私も草井さん以外に友達も欲しいんだから。それに今の状態が良いのもあるから』
レイも友達が欲しいって……その邪魔をするつもりし、俺も仲間に入れてくれてもいいだろ。
「まぁ……レイも進化が目的なら、用事は終わったんだろ? これも何かの縁だ。それでも弱いみたいだから、街まで護衛してやるよ。野良じゃなくて、プレイヤーの人面樹に会ったらイチコロだからな。それがスケルトンのアイテムだと更に厄介だけど、進化してる分、それがレアアイテムになる事もあるかもしれないしな」
レイは以前に名前を教えていたのか。それとかおりんが街まで護衛? この森で素材集めをしてるんだから、嬉しい誘いなんだけど、後ろからズドンって事はないよな? レアアイテムと言葉にされると怖いんだけど。そういえば、プレイヤー同士の戦闘もあるんだった。レイはそれを心配してくれた?
「それは助かるかも。けど、これはレアな物じゃなくて、アイテムとしてはポンコツだから大丈夫だよ。それで……そこまで心配してくれるなら、友達になったりとか」
おい! ポン骨って、俺の名前を言ったんじゃなくて、役立つの事を言ったんだよね。確かにレイがいないと何も出来ないんだけど。それにどさくさ紛れにフレンド申請するなんて。
「フレンド……無理だね。草井とはリア友だろ? 『魔』にフレンド申請は実装されてないからな。ギルドもないし……専用スレを作るのも面倒」
そういえば、コマンドで『フレンド』の項目はなかった。ソロ推奨されてたけど、ここまでするか? 『人魔大戦』がどんな戦闘になるか分からないけど、連絡するのは無理なんだけど。かおリンもスレを作るのは面倒だと言ってるし、そもそもレイや草井さんが書き込む事は無理だろうし。
「まぁ……偶然会った時、一緒に素材集めとかはしてやるから」
そんな事言ってくれる時点でかおリンは良い奴だし、フレンド申請がなくても友達でいいんじゃないか? というか、俺はスケルトンなのに存在感の無さがヤバいぞ。早く街で骨を手に入れて、かおリンを驚かせてやるぞ。