プラモデル
「いや……一度全部揃って、ポン骨達を待っていたんだが……色々もあって、罠に嵌まった。再度バラバラになって、元に戻そうとした時に邪魔したのも」
「……怪しいって、全部お前のせいだろ!」
分身が言葉を濁した事で、原因はレイにあると予想出来る。分身も何するか分からないけど、レイは自分で待つというながら、堪え性もないからな。俺がログアウトしてる時は部屋でジッとしてないからな。
「そこは内緒にしておかないと……でも、組み直したのは私だけど、二本も腕が増える骨はないでしょ。謎の骨なんだよ! もしかしたら、サタリアが紛れ込ましたとか、草井の腕だったり」
草井さんの腕は骨じゃないし、サタリアが持ってたのは頭蓋骨なんだよな。分身自身が骨を拾ったら、流石に俺の道具に入るだろうし。プラモデルみたいに組み立てたとして、パーツが増えるのはありえないか……
「まぁ……危険な時は解除すれば分身は消えるから」
「最悪」
「最悪だな」
「えっ? ポン骨の一声で消えちゃうの? 余計な事を言っちゃった……ゴメンね」
レイは分身に謝るし、かおリンには『最悪』と言われた。あれ……俺が悪いの? 分身は自分が消えるのが嫌なんだろうけど、かおリンは大量発生に一緒に行くのを拒否したよな。
「俺が悪かったよ。何かしない限りは解除なんかしないから。それよりも、ここから脱出しようぜ。東は嫌な予感がするから、西からで……」
そういえば! 剣は無くなってたけど、宝箱の回収を忘れてた。けど、今向かったとして、安全を代償にかおリンと分ける事になるんだよな。
「嫌な予感って……今日に関してはお腹一杯だから。西で構わないぞ。野良魔物も出てこないだろうし。宝箱は放置してあるから、お互い必要そうなのを分ければいいだろ」
うっ……そう言われると、俺がケチ臭いじゃないか。かおリンが宝箱を手にしなかったのは大量発生に急いでくれたんだろう。
「勿論、開けるのは分身君でいいんだろ?」
「OK! 分身君なら余裕だよ」
前言撤回だ。宝箱が罠かもしれない。分身はバラバラになっても元に戻るから、壁役とか罠解除をさせる役割にさせるつもりだな。それもOKしたのは分身じゃなくて、レイだし。最悪なのはお互い様……たちが悪いのはそっちだぞ。