かおりん登場
「レイは喰われそうになったんだろ? その時はどうしたんだよ。俺を投げるのは止めてくれよ」
レイは食べられそうになった時、この吸い込みから逃げ切れたんだよな。何か物を投げて代用した? ×××はレイをすり抜けて、吸い込まれていったけど、止まらない。×××だけが目的じゃない。俺を生け贄とか、デビルドックを倒したみたいに突き抜けるのは無理だぞ。ドクロ棒じゃなくなってるんだからな。
「あの時は助けてもらったの。あんな風に……あっ!」
スライムが俺達を助けるように人面樹を『火の息』で攻撃して、撤退させた。
「はぁ……またお前かよ? ここは相性が悪いと忠告したはずだろ。変な仲間も増えてるけど、役に立ってないし」
話し掛けてきたのは女子プレイヤー。口調は男っぽいけど、本人と声を変更出来ない。スライムはレイをプレイヤーと間違ってるかもしれない。NPCのくせに街の外にいるし、好き勝手に動いてるんだからな。それにしても変な仲間扱いされるなんて……スケルトンを見ると驚くと思うんだけどな。
「私はかおリンって言うんだけど、お前の名前は? それとコイツを少し貰ってもいいか?」
「草井」
かおリンが話し掛けたのは俺じゃなくて、草井さん。草井さんは珍しい姿をしてるから、レイ同様にプレイヤーと間違えられてもおかしくないか。
「臭い? だから良いんだ……もしかして、お前の名前が草井なわけか? 良いセンスしてるじゃん! 貰ってもいいんだな」
かおリンが草井さんから貰おうとしてるのは何だ? 『一口キノコ』は全部食べられてるし、他は草井さんに生えてるキノコかまたまた垂れ流してる×××なんだけど。
「ちょっと! 正気なの? 」
レイは思わず声を上げてしまったのは仕方ない。なんせ、かおリンは何の躊躇いもなく、×××を食べ始めたからだ。
「現実でもないんだし、『魔』だと色々なゲテモノは食べないと駄目なんだよ。特技を覚えるのもそうだ。ついさっき『毒の息』を覚えたのも、十種類の毒系の物を食べたからだぞ。野良魔物は勿論、毒薬や毒草、キノコもな。このう○こだって、『臭い息』とかあったら覚えそうだろ?」
かおリンは特技を覚えるために、この森にやってきたみたいだな。進化だけじゃなく、特技を覚えるのも道具が必要。草井さんの×××は確かに『臭い息』があれば良い素材かも。俺の場合、食べるのが無理だから、色々『補骨』していくのが正解なんだろうな。
「そういえば、今度は何のために……進化のためか? ゴーストが進化すると頭蓋骨を持つようになるわけだな。この森にレアな道具でもあるわけか」
レイが俺を持ってる事で進化したと勘違いしてるみたいだな。そもそも、かおリンは一人だけで、俺みたいにレイや草井さんみたいなサポーターはいないのか? そういうところも聞いてみないと。スケルトンとスライムなら不遇扱いで、俺が頭蓋骨だけの状態でも笑わないかもしれない。