東へ西へ
「二人が私の取り合いを始めるなんて」
「いや……俺の押し付けあいのような感じだぞ」
レイは少し嬉しそうで、分身はそのレイにツッコミを入れている。どっちかといえば、分身の言った通りかもしれない。俺の言う事をあまり聞かないし、かおリンにしても分身が何を起こすか分からない以上、負担でしかならない……レイも大概何かしでかすんだけどな。
「なんてね。良い方法があるわ。私がどっちを選ぶかでいいんじゃないの?」
「私はそれで構わない。女性同士の方が安心だと言っておく」
「おまっ! ふん……俺とレイの絆を舐めるなよ。それは草井さんも一緒だ」
「草井の名前を出すのは卑怯だぞ!」
確かにレイに選ばすのが公平かもしれない。長い付き合いだし、救出したのも俺。サタリアが大量発生に行くよう促したのは、草井さんが登場する可能性があるんじゃないか? どちらに向かったとしても、俺に合わせる。草井さんは???を持つ装備者として。まぁ……低レベルな言い合いはしたけど。
「私は分身? とここに残るから、ポン骨とかおリンはそれぞれ一人で行ってきてよ。私達の体は万全じゃないし、ここは安全なんだよね? 骨を探すのを手伝うから」
まさかの分身と居残るのを選択! レイの左腕は回復してないし、分身は下半身と両腕はあるけど、胴体の骨がない。四本足みたいな姿をしてるけど……今更驚く事はないけど。これを草井さんと勘違いするのは少し……
「分身なの! 何をされるか……壁に隠れたらいいのか。野良魔物も出てこないし……そっちの方が安全か。ポン骨が死んだ時、一緒に帰れるのよね?」
「俺が死ぬの前提! この骨は大事にしたいんだけど、多分大丈夫じゃないか? MENUが回復したのもあるし、万が一のために分身に触れているとか……レイと分身がここに残るので決定なのね」
「こんな会話してる間にも時間は過ぎてるし。西の方が近いから、私はそっちに行くぞ。地下四階なら良いのに、三階だから。言っとくけど、今度こそ罠に引っ掛かるなよ」
サタリアに呼ばれたと言ったのに、信じてないな。当たってるんだけど。東は階段との距離は長いけど、複雑な迷路になってない。MAPがあるのに迷子にならないよ? いや、複雑の方が罠を多く仕掛けてそうだから、気を使ってくれた?
「はいはい……俺が東ね。レイも救出したし、そうそう罠に引っ掛かるかよ」
レイのせいにしたけど、俺の現実の姿が見えた罠は驚くから。それも二度は通じないし、逆にサタリアが呼んでると思えるぐらいになったから。