二つの指輪
「あれ、ポン骨は何でそんなに慌ててるの? もしかして、心配させた」
レイは何事もないように、壁の中から出てきた。笑いながら出てきたのなら、わざとかもしれないんだけど、レイも申し訳無さそうな顔をしてる。
「それはそうだろ。折角助けたのに……それで、何かあったのか?」
「声が聞こえたんだよ。聞いた事があるような? 壁の向こうだから、誰かいてもやり過ごせると思って……こんなのがあったんだけど?」
レイが見せたのは指輪。しかも、回復してない左腕……場所とすれば、薬指部分に付いてる? それは意味深なんだけど、形はかおリンが拾ったのに似ているじゃないか?
「これは……かおリンのつけてるピアス……じゃなくて、指輪にそっくりだよな。って、触れないのかよ! それと……あれは『O』っぽいぞ」
レイが指輪をしてるのは目に入ってるけど、触れる事は出来ない。それ自体本当はないように、幽霊みたいな物みたいに。
「どれどれ……なるほどね。私も触れないな。それと『E』の文字と何か刻まれてるのか。あれ? ……私も触れたわけじゃないかも。レイ……だけじゃなくて、ポン骨も」
かおリンも頬擦りするみたいに指輪に触れようとするけど、通り抜ける。それと『O』と俺やかおリンが思ったのは『E』と刻まれてるから。この指輪はいくつもあって、何かを示す文字になるのか? かおリンの方の指輪に触れる事は
「触れないな。『ヒロインの左腕』も関係ないし、分身も無理か」
「私も右手は無理なんだけど、指輪同士は当たるみたいだね」
俺や分身、レイの生身では触れられないけど、指輪同士は触れると『カチン』と当たる。それは反発してるのかは分からない。文字が全部揃った時に一つになるのか? かおリンの道具に入ってないのも頷けるかも。
「あれ……かおリンは指輪をつけてMAPは回復したんなら、レイが身に付けても大丈夫なのか? 触れないし、レイは俺の装備扱いじゃなくなかったわけだし……見えてるよ!」
MAPだけじゃなく、『MENU』も全部復活してる。これって、俺とレイの関係は続いてると判断しても良い? それにサタリアが言ったのが事実なら、指輪はやっぱり謎系装備だろ。ここにあるのは指輪二つで、他のダンジョンなんかにあるんじゃないか?