翼よりもパイオツを
「あたたたたたたた……全然少しじゃないから! 頭の中に何か流れて……全身に巡る感じなんだけど!」
何かの情報が流れてるのか、頭の中でフラッシュがコマ割みたいに連続で起こる。それも気持ち悪くて、骨が軋むというか、骨折していく痛みも同時に起こって、立ってられない。
「最初の時は……何もなかったのに……サタリアの魔力が影響? それとも肉があるから」
「……どちらでもないかな。安心しなさい。そろそろ、レイも目を覚ますはず。その時には痛みも消えるから」
何? これはレイが受けた痛みを体験してるとかじゃないよな。マイルームでは体が消えそうだったけど、ここでは熟睡してたからな! 『ヒロイン』の記憶が流れてきたなんて……事はないか。
「う~ん、よく寝た……あれ! 体が動かない。何で? 幽霊なのに鎖に繋がれてる。確か……ゴブ蔵に戦いを挑みにいって……捕まった! まだ夢を見てる?」
サタリアが言ったように、レイが目覚めた事で痛みが徐々に引いていくのが分かる。痛みで立ち上がれず、声も掛けられるかどうかだったけど、今なら何とか……
「捕まってないから……俺が……」
まだ痛みで言葉が上手く発っせられない。けど、俺が近くにいる事に安心するはず。
「ポン骨……の趣味なの! 私に何をするつもり……パンツを覗き込むように倒れてるし」
「下着なんて穿いてないだろ! 足もないんだから」
確かに倒れて事もあって、そんな姿をしてるけど、見えてたら十八禁だからな。ゴーストじゃなければ……けど、直後に頭蓋骨を踏み潰されていたな。いや、突っ込むところはそこじゃなくて! サタリアも笑いを堪えてるのが無性に腹立つぞ。
「じゃなくて! 『ヒロインの左腕』が暴走して、魂が捕らわれたんだよ。それを助けに来たの! それまで色々あったんだからな。俺の姿も変わってるし……」
「お前の姿も変化してるだろ」
「貴女は……本当だ! これって何……影の翼?」
サタリアがレイの鎖を外したけど、『貴女は……』で終わり? 実は知り合い。見なかった事にするみたいな?
「私はゴーストなんだし、翼なんかより、胸の方が良かった」
「それも見た目だから。触らせてくれるわけでもないだろ」
胸の膨らみでミサイルは無理でも、おっぱいビームを放つつもりか……なんて、こういうやり取りも久し振りな気がしてくる。




