魔王再び
「くそっ! そろそろ道具袋が開くようになってくれよ。一部だけでも隠せるように……骨の一部でくりぬく事は無理でも、削れたりしないかな?」
とはいえ、自分の金○部分に蹴るというか……削るのは、痛みはないんだろうけど、少し縮こまってしまうぞ。けど、野晒しになるよりかはましだ。
「……よし! 落とし穴はないし、上から物が落ちてくる事もなし。流石にアソコの部分がトラップのスイッチになってるわけはないだろうし」
取り敢えず、かかと部分の骨で削ってみようと片足を上げた。そのタイミングで表情が変わらなかった壁の中の俺が笑った。自分が笑う姿を初めて見たけど、ヤバい顔だな! ……じゃなくて、やっぱり罠たった。壁の中から俺の手が伸びてきて、俺の体を吸い込んでいく。
「マジか! 壁の俺と、骨の俺が入れ替わ……らない!」
入れ替わっても人の姿だし、バレバレだよな。それに壁の中に閉じ込められたわけじゃなくて、落下していく感覚に陥ってる。何度か経験した感覚だ。
「おっ! 今回は意識を失わずに済んだけど……ヤバいな。骨を拾う前に別の場所へ来てしまうと……罠に嵌まらないと宣言したのに」
別の場所に来てしまった事より、かおリンが激怒する姿を先に思い浮かんでしまった。
「ここをさっさと抜け出すべきだな。さっきまで隠し階層だったから、普通の階層に戻った……感じじゃないのか」
MENU画面は未だに開かないまま。黄金の壁は無くなった……というより、周囲が薄暗くて、モヤが掛かったように何があるか把握しずらい。けど、見た事がある場所のような……
「今度は本物が来たようだな。分身を作るから間違った奴を連れて来てしまったではないか」
「その声は……サタリアか!」
「そうだ。久し振りというのも、そこまで時間は経ってないな。イベントにお前も来てただろ?」
まさかのサタリアが登場? 俺がイベントに来ていた事も知っているみたいだし、間違って『分身』を連れて来た……という事は、レイはここにいて、この場所はサタリアの城!