流砂の入口
「けど、新しい骨を『補骨』した今の状態……でも、飲み込まれるのね!」
草井さんの骨で大幅にパラメーターはアップしたけど、速さは+10なんだよね。更に『魔眼K』を固有特技にしたから-2減らしたわけだ。シルバーウルフの骨だったら……何とかなったか?
「抜け出そうと考えるな。流れに身を任せろ」
これは分身の声だな。身を任せろって、飲み込まれたら死ぬかもしれないし、この骨が消失したら身も蓋もないんだけど……
「そんな事したら草井さんの骨が……そうします!」
「まぁ……二回目だし、行き着く先は一緒なら問題ないだろ」
分身は流砂から脱出しようともがいた結果、ゾンビ&ウオ大量発生の時みたいに体がバラバラに。俺の場合は耐が高いから大丈夫だったけど、それも時間の問題だったかもしれない。分身はあれで消えてもおかしくなかったのに体は元に戻ってたけど、俺の場合はどうなるか。水の時もそうだけど、流砂に巻き込まれて、HPが削られる事はないんだよな。
「行き着く先って……かおリンは何か知ってるのか?」
「知らないぞ? ポン骨といる場合、変な事が起きる事が多いからな。何かのイベントじゃないか。けど、私だけが弾き返されるのは嫌だぞ」
「それはお互い様だぞ。そもそも、俺がというよりも、発端はかおリンが原因なのが多い気がするんだけど」
俺がいる時に変な事が起きるって……否定出来ない。けど、『シンリーの隠しダンジョン』とか、『クロス』もかおリンが原因でもあるんだからな。まぁ、ユウがいたクロスは追い返されてたけど……
「それと……かおリンだけが脱出するつもりはない事に安心したかも。見捨てるイメージもあったし」
かおリンは俺の頭に乗ってるし、流砂から逃れる方法は残されてるはず。例えば、一緒に飲み込まれていく岩を踏み台にしていくとか。
「イベントなら乗っかるべきだろ? 中心に近付くと分かるよな」
まさか! 蟻地獄のボスキャラは……いない。その代わり、砂が小さな穴へと吸い込まれていく。この穴はダンジョンの入口って事か?