分身、大人になる。
『補骨』の選択肢が登場する。
「俺は『補骨』しないが……気にするのであれば、外に出ようか?」
「えっ? ……そうして思えると助かるんだけど」
分身にはゴブリンの骨が『補骨』されてるとはいえ、草井さんの骨で強化されるかもしれない。謎の鎧もないし、『補骨』に限界がないかもしれない。しかも、分身が『補骨』しないが……って、俺じゃなく、分身の意志でも『補骨』出来るみたいな言い方されたら……余計気になるのもあるんだけど、草井さんみたいな大人な感じになってないか?
「あれ……何? 急に変わりすぎじゃね。草井さんが乗り移ったわけじゃないよな。後をつけてみようか」
かおリンも分身の変化にキョトンとして、外に出た分身が何か企んでるわじゃないか? って気持ちになったのか、『追いかけようか』と言ってくるぐらいだ。
「流石にそれは……分身も草井さんがいなくて、頑張ろうと思ってくれるようになったのかもしれないし、水をさすのはちょっと……」
逆の立場だったら、俺も草井さんの代わりにと思う。一応、俺の分身なわけだし、そう思ってくれてる……はず。
「それよりも……草井さん、力を貸してくれ」
『補骨』にYesを選択。骨が光に包まれ、俺に吸収されていく。謎の鎧の内部に骨が形成されていくのが分かり、構造も変化なし。人の形なのは間違いない。次に足の骨も生み出され、視線が高くなっていく。十本以上骨があり、今回こそは人の姿の完成版に……
「ん……? おかしくないか。『補骨』だから許される事なのかな」
足は足でも、両足。草井さんは義足で棍棒を選んでたはずだから、両足の骨があるのはおかしいような……けど、十本以上のおまけかもしれないし、バッドの骨でも両翼付いた事あるんだもんな。しかも、骨が骨太で鉄の色をしてるような……鉄骨を長い時間突き刺してた事で鉄分が……
足が完成すると、次は両腕が……生えてこない! 右手は俺の骨だったから、回復に使われたって事か? そもそも骨はバラバラになってて、勝手に右手の骨だと思っていたからなのかも。けど、左腕はどうなの? 『ヒロインの左腕』のために残しておいたなんて、やめて欲しいんだけど。
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ゾンビバトラーの骨を『補骨』しました。
HP +30
MP +10
力 +18
耐 +20
速 +10
器用さ +8
魔力 +12
運 +5
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強っ……両腕が無い状態で、シルバーウルフの『補骨』を越えてるじゃないか! 骨のくせに力と耐が高いし、草井さんから右目を貸して貰った時よりも魔力が上がってる。草井さんの骨じゃなくて、『ゾンビバトラー』の骨なんだな。進化後がバトラー……これは執事か戦士のどっちの意味なんだ?