継承?
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「全く……私を待ってたわけじゃないだろ。本当に脱け殻……ポンコツになるなよ」
どれだけ時間が経ったのか分からない。レイに続いて、草井さんもいなくなった喪失感が思った以上に半端なかったみたいだ。かおリンが来た事にも気付かなかったぐらいだし。
「あぁ……今回も上手く逃げれた感じか?」
かおリンはゴブリンの大量発生で上手い具合に逃げたけど、今回もゾンビ達が助けに入ったのなら、逃げるチャンスはあったかもしれない。
「そこまで甘くないから……やられたよ。レイがこんな状態でも……草井は……実はプレイヤーだったと思ってたところがあったけど……いないんだな」
かおリンがそう思ってもおかしくないよな。レイと草井さんはNPCにしては特別過ぎたと思う。進化もするし……その直後に倒されるなんて、どういう事だよ! と本人の前でツッコミたいところだ。
「まぁ……それが当たり前なんだよ。『魔』はソロ推奨で、レイや草井がいたのが特別だった。スケルトンは『補骨』や『与骨』があるだけで十分だろ? 草井がいなくなったんだから、レイの事も忘れて、普通のプレイヤーに戻るのもありじゃないか?」
かおリンや他のプレイヤーに、レイや草井さんのように協力してくれるバディ、相棒はいなかった。それが当然で、二人がいなくても『魔人天生』をするのに支障はない。
「それはないに決まってるだろ! 草井さんが無駄死になるじゃないか……レイだけでも助けないと……」
けど、骨はユウ? の一撃で頭蓋骨だけになってる。かおリンに貰ったばかりで、『補骨』する骨がない。かおリンが骨を拾ってくる場所を教えてもらう? かおリンはそこまで転移出来るけど、初めての場所なら無理だ。移動もままならないし、道中で大量発生が起きてるかもしれない。
「助けるつもりがあるなら、これをやる。お前に使ってもらいたいだろうからな。落としてなくて本当に良かったよ」
「……骨? 一体何の」
「草井のに決まってるだろ。アイツもポン骨の『補骨』のために落としたかもしれないからな。私が拾わないでどうする」
草井さんの骨……右手の骨は元々ベルゼブに貰った物だったけど、他にも……十本以上はありそうだ。進化した直後でもあるし……草井さんが力を貸してくれるかもしれない。