魔物じゃなくて、妖怪だろ
「確かに……けど、面白そうで決めていいのか? そろそろ開始の時間だから早めに……途中参加にしてみるんだったか」
そういえば、大量発生を途中から参加してみるのを忘れてた。敵の種類も増えるし、???の出現まで力を温存出来る寸法だ。最初から最後までいる事での報酬、称号は諦めた方がいいのは、ゴブリンの大量発生で身に染みたわけだし。
「今回はどっちでもいいけどな。二種類の魔物が大量発生するんだ。互いに敵対するかもだろ? ゾンビがウオを食べて、骨太になるとかさ」
魚の骨でカルシウム! なわけないだろ……って、以前の草井さんの行動を見ていると否定出来ない。
「骨太になりたいのはこっちの方なんだけど……何の骨かは分からないけど、『補骨』させて貰うとするかな。その前に、草井さんは分身を連れて、一旦外に出といてくれないか?」
『補骨』するのは良いんだけど、前回みたいに分身に奪われたら、たまったもんじゃない。頭蓋骨が地面に転がって、ゾンビに食べられる可能性もあるかもしれない。
「分かった。分身が強化されても、本体が倒されたら終わりだろうからな」
草井さんは納得してくれ、分身を外へ連れ出してくれた。俺が言っても無視するだろうし、手足がない以上は無理矢理追い出すのも……かおリンだったら、倒してしまいそうだよな。
「『分身』自身の意思で、『補骨』出来たら、やらせてみても面白かったかもしれないけどね。一つだけじゃないのは私にでも分かったから」
それは人……ゴブリンの骨の形から、新たに進化する期待なのか? かおリンは袋を出してきたのは、その中身が骨なんだろう。確認しなくても、『補骨』しますか? と選択肢が出現している。分身も外に出ているし、奪われる事はないはず。
「『Yes』。一つだけじゃないって、同じ種族の骨が十本以上あったら」
俺もさっきの草井さんみたいに、光に包まれる。草井さんが装備から外れ、右手の感覚を共有する事が出来たとしても、右手が普通にあってくれると嬉しい。シルバーウルフはレアだったから、あれ以上は求めては駄目なんだろうけど。
「おっ! 足の骨が……はっ?」
足が生えきた。謎の鎧を身につけてるから、胴体は別箇所の骨に対応する。けど、足は二本じゃなく、一本だけ。それも胴体部分か消えた……んじゃなく、その一本の足に合った細さになっている。頭蓋骨から足が生えた感じ? それを隠すために、マント? スカートみたいのを履いてる。
「頭の上にも何かあるみたいだし、手があるようで……ないような。何処かで見た事もあるような……」
両腕を広げるイメージをしてみると、バンっと何かが開いた。草井さんや分身がドアを開けて、帰ってきたわけじゃない。
「ぷっ! 防御が少しは上がると思ったけど、そうなる? 予想はしなかったわけじゃないけど。魔物というより、妖怪?」
かおリンがそう思うのも無理ないかも。さっきの音は傘が開いただけ。その傘が俺なの! 骨は骨でも『傘の骨』で魔物でもないんでもない。鉄骨と一緒だな。『傘の骨』と何かの骨の影響で、唐笠お化けみたいな姿にさせたわけだ。