同時発生
「そうなのか? 違和感をがあるのはまだ馴染んで……いや、別の感覚も混じってるからか」
草井さんは拳のグー、バーと開閉で確認してる。『補骨』したら、草井さんの一部になる。俺はその中でチョキをイメージしてみると、右手がチョキの形に変化した。
「おおっ、俺がイメージした形に……お前は何してるんだよ」
草井さんの右手は言う事を聞いたけど、『分身』は全くだな。反抗的というべきか、ジャンケンのグーの形にして、勝ち誇ってるんだけど。
「ふむ……能力が増えたのかは……戦闘しないと分からないかもしれない。ポン骨が俺の『右手』を使うのも」
俺やかおリンはステータス画面でパラメーターや特技を確認出来るけど、草井さんはプレイヤーじゃないから。自分と色々確認しないと駄目なんだろう。毒耐性とかも食べ物の消化で消えるわけだし、まともに特技を持った事もないと思うし。
「それじゃ……大量発生の何処に行くかだよな? ゴーストまでは時間がまだけど、別の場所にも行ってみるんだろ」
本当は一回でもしんどいけど、レイを助けるのもあるし、『ヒロインな左腕』を捜さないと駄目だし。メンテナンス中に掲示板を開けてみたけど、目撃情報はなし。緊急メンテの愚痴や、補填の期待ばっかりだった。ゴーストは夜。レイの種族がゴーストで、一応確かめてみたいと。今は夕方だから、一回はやれるチャンスがある。
「アンタの場合、その前に『補骨』だから。その状態で行っても役立たずだろ? 一応持ってきてるけど……何で毎回持ってこないと駄目なんだ」
それは助かるし、感謝してるけど、勝手に部屋に来るお土産ぐらいに思っておこう。当たり外れがあるだろ? 案の定、???の骨で、何の骨かも分からない。毎回拾ってくるなら、草井さんに場所を教えてやってくれ。
「っと! 運営から連絡が届いた……これは良いのか、悪いのか」
かおリンに届いたように、勿論俺にも。内容はメンテナンス中に起きた大量発生を今の時間から入れていくらしい。場所が被るところもあれば、二種族の魔物が大量発生する事になる。二種族の素材を一度に手にいれるチャンスだけど、それ用に対策してたプレイヤーがいれば、水の泡になってしまうな。




