挑発してるわけじゃないから
「うっ……それは否定出来ないけど……仕方ないか。僕の方が『魔』を選ぶよ」
光もスタッフと一緒に乱入を楽しんでたのかも。それに『人魔大戦』もあるし、俺の戦闘方法を調べるのもあったかもしれないな。こっちも光の戦い方を見る良い機会だったかもしれないけど、『ダンサー』の後方支援って事は阿久野から教えてもらってるから、今回の戦闘の仕方とは別だろうし。
「選べるのは近接系の『獣人』と魔法系の『エルフ』の二種類。店側の方は別々の筐体になってるけど、こっちは選択出来るから」
体験版だから特定の種族、職業しか選べないのは仕方ない。モニターで見た時も、『人』の方は獣人とエルフだった。
俺が選んだのは近接系の『獣人』。阿久野の種族は獣人だし、体験しておくのも悪くない。天野さんのセシリアも『エルフ』ではあるけど、注目プレイヤーになるぐらいだから別格だろうし。
選択が終わった後、すぐに戦場に出るわけじゃなくて、二人が決まったと同時に転移する形みたいだ。待ってる間、店側の戦闘開始五秒前との表示が。『魔』側はゴブリンとハーピーの二種類。光もどちらかを選ぶ事になるんだろうけど。
「おっ……移動した。フィールドは森? そこはランダムみたいだな」
前の戦闘では見渡しが良い草原だった。今回は木々の障害物が多く、他プレイヤーを見つけにくい。といっても、そこまで広く作られてるわけじゃないだろうけど。
「へ、変態!」
背後から声が! 『魔人天生』の体験版でそんな行動をする奴がいるなんて。ゴブリンを選んだプレイヤーか? 光は今のところ置いといて、俺が天誅を与えてやらないと。
「そいつは何処にいるんだ……」
後ろを振り返ると、エルフの視線の先にいるのは……俺? あっちの方には誰も見えないし……本当に俺なの!
「アンタの事よ! 四つん這いになって、お尻を見せつけるなんて。馬鹿にしてるの!」
あっ……前がシルバーウルフの骨で動いてたせいで、獣人なのに四足歩行をイメージしてしまった。そのせいで四つん這いでの登場になったわけだ。
「ち、違うぞ! 獣人だから、獣みたいな動きがいいかも……と思っただけだからさ」
エルフは俺の言い訳なんか聞くはずもなく、炎の魔法を放ってきた。




